16節 アプロディテ Aphrodite
アプロディテ Aphrodite エロス Eros
Pygmalion
and Galatea, showing Aphrodite bringing the statue to life
ペット・ショップとカフェ Pet
Shop and Café 2019年(令和元年)
ペット・ショップとカフェ Pet
Shop and Café 2019年(令和元年)
お菓子の家 Gingerbread
House 2019年(令和元年)
お菓子の家 Gingerbread
House 2019年(令和元年)
Gingerbreadは主にアメリカでクリスマスシーズンに食べられるお菓子
人型に作ることが多い
ゴジラ Godzilla
ヴィーナスの誕生 The
Birth of Venus
中央には、新しく生まれたnewly
born女神ヴィーナスgoddess Venusが巨大なホタテ貝殻giant scallop shellの中に裸で立っているstands nude。
霊的情熱の象徴であるゼピュロスZephyr(西風west wind)に乗って、岸へと吹き寄せられている。
季節の女神Goddess of the seasonであるホーライHoraeたちの一人が、花で覆われた外套を女神へと差し出している。
アプロディテ Aphrodite
(ウェヌス Venus)
アプロディテAphroditeは、愛love、欲望lust、美しさbeauty、喜びpleasure、情熱passion、そして出産procreationに関連するassociated with古代ギリシアの女神ancient
Greek goddessである。
Aphrodite
is an ancient Greek goddess associated with love, lust, beauty, pleasure,
passion, and procreation.
彼女はローマの女神Roman goddessヴィーナスVenusと同調していた。
She
was syncretized with the Roman goddess Venus.
オリュムポスの十二神the Twelve
Olympian godsの一人。
アプロディテAphroditeの主な象徴symbolsには、銀梅花(ギンバイカ)myrtles、バラroses、ハトdoves、スズメsparrows、白鳥swansなどがある。
Aphrodite's
major symbols include myrtles, roses, doves, sparrows, and swans.
キュプロス島 Cyprus
アプロディテの崇拝cult of Aphroditeは、主にフェニキアの女神Phoenician goddessアスタルテAstarte、東セムの女神East Semitic goddessイシュタルIshtarの同族cognateの崇拝cultに由来し、その崇拝cultはシュメールのSumerianイナンナの崇拝cult of Inannaに基づいていた。
The
cult of Aphrodite was largely derived from that of the Phoenician goddess
Astarte, a cognate of the East Semitic goddess Ishtar, whose cult was based on
the Sumerian cult of Inanna.
キュテラ島 Cythera
アプロディテAphroditeの主な信仰中心地cult centersは、キュテラ島Cythera、キュプロス島Cyprus、コリントCorinth、アテネAthensであった。
Aphrodite's
main cult centers were Cythera, Cyprus, Corinth, and Athens.
彼女の主な祭りfestivalはアフロディジアAphrodisiaで、毎年真夏midsummerに祝われた。
Her
main festival was the Aphrodisia, which was celebrated annually in midsummer.
ラコニアLaconiaでは、アプロディテAphroditeは戦士の女神warrior goddessとして崇拝されていた。
In
Laconia, Aphrodite was worshipped as a warrior goddess.
Uranus
and the Dance of the Stars
アプロディテAphroditeはまた、売春婦prostitutesの守護女神patron goddessでもあり、初期の学者early scholarsがギリシア・ローマ文化Greco-Roman cultureにおける「神聖な売春sacred prostitution」の概念conceptを提案proposeするように導いた関連付けassociationであり、現在一般的に間違っていると見なされているseen as erroneous考えideaである。
She
was also the patron goddess of prostitutes, an association which led early
scholars to propose the concept of "sacred prostitution" in
Greco-Roman culture, an idea which is now generally seen as erroneous.
クロノス Cronus
ヘシオドスHesiodの神統記Theogonyでは、アプロディテAphroditeは、息子sonのクロノスCronusが切断して海に投げ込んだsevered and thrown into the seaウラノスUranusの性器genitalsによって生成producedされた泡foamからキュテラ島の沖合off the coast of Cytheraで生まれた。
In
Hesiod's Theogony, Aphrodite is born off the coast of Cythera from the foam (ἀφρός,
aphrós) produced by Uranus's genitals, which his son Cronus had severed and
thrown into the sea.
しかし、ホメロスHomerの 『イリアスIliad』 では、アプロディテAphroditeはゼウスZeusとディオネDioneの娘daughterである。
In
Homer's Iliad, however, she is the daughter of Zeus and Dione.
ヘパイストスHephaestus、アレスAresとアプロディテAphrodite
ギリシア神話Greek mythologyでは、アプロディテAphroditeは火fire、鍛冶屋blacksmiths、金属加工metalworkingの神godヘパイストスHephaestusと結婚marriedしていた。
In
Greek mythology, Aphrodite was married to Hephaestus, the god of fire,
blacksmiths and metalworking.
アプロディテAphroditeはしばしばヘパイストスHephaestusに不貞unfaithfulを払い、多くの恋人many loversがいた。
Aphrodite
was frequently unfaithful to him and had many lovers;
ヘパイストスHephaestusに情事を発見されたアプロディテAphroditeとアレスAres
オデュッセイアThe Odysseyでは、アプロディテAphroditeは戦争の神god of warアレスAresとの姦淫の行為act of adulteryに巻き込まれる。
in
the Odyssey, she is caught in the act of adultery with Ares, the god of war.
たとえばホメロスHomerによればアプロディテAphroditeは夫を裏切ってアレスAresと情を交わしていたが、太陽神・ヘリオスHelioにそれを密告された。
夫のヘパイストスHephaestusは2人が裸で抱き合っているところを見つけて、目に見えぬ網でベッドごと捕えた。
ヘパイストスHephaestusは他の男神たちを呼んで2人を笑い物にしたが、やがてポセイドンPoseidonが2人を許すようヘパイストスHephaestusに取りなしてくれた。
Venus
and Anchises
アプロディテAphroditeへの最初のホメロス風讃歌Homeric Hymnで、彼女は死すべき羊飼いmortal shepherdアンキセスAnchisesを誘惑seducesした。
In the
First Homeric Hymn to Aphrodite, she seduces the mortal shepherd Anchises.
Venus
as Huntress Appears to Aeneas
アプロディテAphroditeが人間の男のアンキセスAnchisesと恋に落ちたのは、魔力を持つ帯を身に付けてすべての神々の心を弄ぶアプロディテAphroditeを懲らしめようとする、ゼウスZeusの意志によるものだった。
アンキセスAnchisesとの間にはアイネイアスAeneasが生まれた。
Venus
and Adonis
アプロディテAphroditeはまた、野猪wild boarに殺された死すべき羊飼いmortal shepherdアドニスAdonisの代理母surrogate motherであり恋人loverでもあった。
Aphrodite
was also the surrogate mother and lover of the mortal shepherd Adonis, who was
killed by a wild boar.
アプロディテAphroditeはその他の人間の男も多く愛したが、美少年Beautiful boy・アドニスAdonisを愛したときは、彼をめぐってペルセポネPersephoneと争った。
アドニスAdonisが野猪wild boarに突かれて死んだとき、悲しんだアプロディテAphroditeは少年の流した鮮血から赤いアネモネanemoneの花を咲かせた。
パリスの審判 the Judgement of Paris
アテナAthena、ヘラHeraと並んで、アプロディテAphroditeはトロイア戦争Trojan Warの始まりをもたらした三人の女神three goddessesの一人であり、彼女はイリアスthe Iliad全体で大きな役割を果たしているplays a major role。
Along
with Athena and Hera, Aphrodite was one of the three goddesses whose feud
resulted in the beginning of the Trojan War and she plays a major role
throughout the Iliad.
しかし、アプロディテAphroditeにまつわる物語でいちばん重要なのはトロイア戦争Trojan Warの原因となった「パリスの審判the Judgement of Paris」の物語である。
エリス Eris (不和の女神goddess of
discord)
争いの黄金のリンゴ the Golden
Apple of Discord
ペレウスPeleusとテティスThetisの結婚式wedding banquetに招かれなかったことを怒った不和の女神goddess of discord・エリスEris(「闘争strife」)が饗宴の席Feast seatに投げ入れた黄金のりんごthe Golden Appleをめぐり、ヘラHera、アテナAthena、アプロディテAphroditeの三女神the three goddessesが美を競い合った。
その黄金のりんごthe Golden Appleには「最も美しい女性にFor the most beautiful
one」と書かれていたからである。
(争いのリンゴthe Apple of Discord)(争いの黄金のリンゴthe Golden Apple of
Discord)
ヘレネHelenとパリスParisの愛 The Love
of Helen and Paris
しかし、ゼウスZeusはその審判judgeをトロイアの王子Trojan princeで美しい人間の子beautiful human child・パリスParisに委ねた。
三女神the three goddessesはめいめいパリスParisを買収しようとするが、最も美しい人間の女性the most beautiful human femaleを与えようと言ったアプロディテAphroditeの申し出に負けて、パリスParisはアプロディテAphroditeに黄金のりんごthe Golden Appleを与え、アプロディテAphroditeは神々の中で最も美しい女神the most beautiful goddess of godsとなったのだった。
パリスParisが最も美しい女性the most beautiful woman・ヘレネHelenと結ばれるためにアプロディテAphroditeが力添えをしたのはもちろんのこと、その後も、ヘレネHelenをあきらめないパリスParisを陰に陽に、アプロディテAphroditeは助けた。
イアソンJasonはメデイアMedeaに永遠の愛を誓う
その他にも、恋をする人間たちの多くに味方した。
たとえばアタランテAtalantaの心を得ようとするメラニオンMelanion(あるいはヒッポメネスHippomenes)や、メデイアMedeaの愛を必要とするイアソンJasonらを助け、我が子・アイネイアスAeneasにはカルタゴCarthageの女王Queen・ディドDidoの心を向けさせた。
Myrrha
and Cinyras
他方、アプロディテAphroditeを侮辱したり、アプロディテAphroditeより美しいと自惚れる者は神であろうと人間であろうと許さなかった。
ミュラMyrrhaの父father・キニュラスCinyrasとその3人の娘daughtersたち、牝馬を種馬と交わらせようとしなかったため罰せられ牝馬に生きたまま食われて死んだグラウコスGlaucus、牡牛を愛して交わり怪物・ミノタウロスMinotaurを産んだクレタ王King of Crete・ミノスMinosの妃Queen・パシパエPasiphae、アフロディテ崇拝Worship of Aphroditeを怠ったため悪臭awful smellを発して夫たちhusbandsに棄てられたレムノス島the island of Lemnosの女たちWomen、などである。
ただしレムノス島the island of Lemnosの女たちWomenは自分たちを棄てた夫husbandsをすべて殺してしまったが、アルゴナウタイArgonauts一行がその島islandを訪れたとき、ヘパイストスHephaestusを喜ばせようとしてアプロディテAphroditeが女たちWomenの悪臭awful smellを消したため、一行the partyと情を交わした。
The Death of Hippolytus
また愛欲には目もくれぬテセウスTheseusの息子son・ヒッポリュトスHippolytusには特別厳しい仕打ちをした。
すなわち継母stepmother・パイドラPhaedraがヒッポリュトスHippolytusに恋い焦がれるように仕向け、ヒッポリュトスHippolytusに見向きもされないパイドラPhaedraは、ヒッポリュトスHippolytusに辱められたとテセウスTheseusに言い残して自殺したので、テセウスTheseusは妻wifeの嘘を信じ息子sonを追放した。
父親fatherに呪われたヒッポリュトスHippolytusは無残な最期を遂げた。
Clio,
Muse of History
人間の子・アドニスAdonisに夢中のアプロディテAphroditeを嘲笑した9人姉妹nine
sistersのムーサイMousai(ミューズたちMuses)の1人クレイオClioには、同じように人間の男・ピエロスPierusに夢中にさせて仕返しをした。
アドニスAdonisをめぐってペルセポネPersephoneとアプロディテAphroditeが争ったとき、2人の間を裁いたムーサMousa(ミューズMuse)のカリオペCalliopeには、息子son・オルペウスOrpheusの死という罰を与えた。
Aurora
Taking Leave of Tithonus
アプロディテAphroditeの情人・アレスAresと寝た曙の女神goddess of dawn・エオスEosには、人間の男・ケパロスCephalusとティトノスTithonusの2人に恋い焦がれる罰を与えた。
またアレスAresとの情事をヘパイストスHephaestusに告げた太陽神solar deity・ヘリオスHeliosには、人間の女・レウコトエLeucothoeに夢中になるように仕向けた。
しかし、1度だけ立場が逆転してアプロディテAphroditeが恥をかいたことがある。
トロイア戦争Trojan Warで、ディオメデスDiomedesに傷つけられ戦場から逃げ帰るとき、人間に笑われたのである。
ヴィーナスの誕生 The
Birth of Venus
海水の白濁した泡から生まれたばかりの美と愛の女神、ヴィーナスVenusが描かれている。
ヴィーナスVenusの上では、白色や青色の小さな翼を生やしたクピドCupidが、法螺貝Conchを吹き鳴らしながら飛び回り、ヴィーナスの誕生Birth of Venusを祝福している。
アプロディテAphroditeは女性の美の象徴symbol of female beautyとして西洋美術Western artに登場featuredし、西洋文学Western literatureの数多くの作品numerous worksに登場appearedしている。
Aphrodite
has been featured in Western art as a symbol of female beauty and has appeared
in numerous works of Western literature.
ピュグマリオン Pygmalion
ピュグマリオン Pygmalion
キュプロス島Cyprusの王King。
オウィディウスOvidの 『変身Metamorphoses』 第10巻book
10では、ピュグマリオンPygmalionはキプロスCyprusのプロポエティデスPropoetidesが売春prostitutionを実践しているのを見たとき、「自然が女性に与えたnature has given to women計り知れない過ちfaults
beyond measureを嫌悪detesting」し始めた。
In book
10 of Ovid's Metamorphoses, when Pygmalion saw the Propoetides of Cyprus
practicing prostitution he begun "detesting the faults beyond measure
which nature has given to women".
彼は独身celibateのままで、彫刻sculptingに身を投じることを決心determinedした。
He determined
to remain celibate and to occupy himself with sculpting.
ピュグマリオンPygmalionとガラテイアGalatea
彼は女性の彫刻sculpture of a womanを作って、彼はそれに恋をしたhe fell in love with itので完璧perfectだと感じた。
He
made a sculpture of a woman that he found so perfect he fell in love with it.
ピュグマリオンPygmalionは彫刻sculptureにキスkissesをしたり愛撫fondlesしたり、様々な贈り物various giftsを持ってきたり、豪華なベッドsumptuous bedを作ったりした。
Pygmalion
kisses and fondles the sculpture, brings it various gifts, and creates a
sumptuous bed for it.
やがて、アプロディテの祭りの日Aphrodite's festival dayが来て、ピュグマリオンPygmalionはアプロディテAphroditeの祭壇altarで供物offeringsを捧げました。
In
time, Aphrodite's festival day came and Pygmalion made offerings at the altar
of Aphrodite.
ピュグマリオンPygmalionとガラテイアGalatea
そこでは、怖くて自分の欲望を認めるadmit his desireことができず、彼は静かに「私の象牙の女の子my ivory girlの生きた姿」になる花嫁brideを望んでいた。
There,
too scared to admit his desire, he quietly wished for a bride who would be
"the living likeness of my ivory girl".
家に帰ると、象牙の像ivory statueにキスkissedをし、その唇が温かく感じられるits lips felt warmのが分かった。
When
he returned home, he kissed his ivory statue, and found that its lips felt
warm.
彼は再びそれにキスkissedをすると、象牙ivoryが硬さを失っているlost its hardnessのが分かった。
He
kissed it again, and found that the ivory had lost its hardness.
Pygmalion
and Galatea, showing Aphrodite bringing the statue to life
アプロディテAphroditeはピュグマリオンPygmalionの願いを叶えていた。
Aphrodite
had granted Pygmalion's wish.
ピュグマリオンPygmalionは象牙の彫刻ivory sculptureと結婚marriedし、アプロディテの祝福Aphrodite's blessingの下で女性womanに変わった。
Pygmalion
married the ivory sculpture, which changed to a woman under Aphrodite's
blessing.
(それに与えられたガラテイアGalateaという名には古典classicからの典拠(てんきょ)authorityがない。)
オウィディウスOvidの物語narrativeでは、二人には娘daughterのパポスPaphosがおり、その町の名前city's nameの由来となっている。
In
Ovid's narrative, they had a daughter, Paphos, from whom the city's name is
derived.
いくつかのバージョンでは、パポスPaphosは息子sonであり、娘daughterのメタルメMetharmeもいた。
In
some versions, Paphos was a son, and they also had a daughter, Metharme.
メタルメMetharmeは、キニュラスCinyrasの花嫁brideになったという。
マイ・フェア・レディ My
Fair Lady
1964年(昭和39年)制作のアメリカ合衆国のミュージカル映画American musical drama film。
主演film
starsはオードリー・ヘプバーンAudrey Hepburnとレックス・ハリソンRex Harrison。
原作based
onは、ジョージ・バーナード・ショーGeorge Bernard Shawの戯曲play 『ピグマリオンPygmalion』 (1913年(大正2年))。
ポリュペモスPolyphemus アキスAcis ガラテイアGalatea
ガラテイア Galatea
海神sea god・ネレウスNereusとドリスDorisの娘daughter。
名は「乳色milk-whiteの女」の意。
シシリア島Sicily沖合いの海に住んでいたが、シシリア島Sicilyには羊や山羊の群れを飼うキュクロペスCyclopesの一人ポリュペモスPolyphemusがいた。
ポリュペモスPolyphemusはガラテイアGalateaに熱く焦がれ、彼女を追い回した。
しかし、パンPan神とニンフnymphのシュマイティスSimaethisとの息子sonで羊飼いの青年youthアキスAcisを愛するガラテイアGalateaは、ポリュペモスPolyphemusの恐ろしい外見を嫌って、ポリュペモスPolyphemusの求愛をにべもなくはねつけた。
アキスAcisへの激しい嫉妬にかられたポリュペモスPolyphemusは、懸命に愛の調べを歌ってガラテイアGalateaの気を引こうとしたが、騒々しいその歌声は若い恋人たちに嘲笑されるばかりだった。
ポリュペモスPolyphemus ガラテイアGalatea アキスAcis
ある日、草原に眠る二人を見つけたポリュペモスPolyphemusはアキスAcisを追い、大きな岩を投げつけ、アキスAcisをその下敷きにして殺した。
悲嘆にくれるガラテイアGalateaは、岩の下から川の流れを起こし、アキスAcisをその川の神とした。
別の説では、アキスAcisは登場せず、ポリュペモスPolyphemusがもっぱら愛の歌と笛の音色で、めでたくガラテイアGalateaの心を得たという。
ミュラMyrrha アプロディテAphrodite
キニュラス Cinyras
ミュラ Myrrha
キュプロス島Cyprusの金持ちrichの王King。
トロイア戦争Trojan Warに出かけるアガメムノンAgamemnonに美しい胸当てを贈った。
キュプロス島CyprusのパポスPaphosの名のもとになったピュグマリオンPygmalionの娘daughter・パポスPaphosの息子sonとする説もある。
ケンクレイスCenchreis(あるいはメタルメMetharme)と結婚marriageし、娘daughter・ミュラMyrrhaを得た。
ミュラMyrrhaは長ずるに及んで父father・キニュラスCinyrasに激しい恋心を抱くようになった。
ミュラMyrrha キニュラスCinyras
これは、ミュラMyrrhaがアプロディテAphrodite女神Goddessの祭礼festivalを怠ったために、あるいは彼女の父father・キニュラスCinyrasが娘daughterはアプロディテAphroditeよりも美しいと自慢したために、この女神Goddessから与えられた罰punishmentであった。
Myrrha
and Cinyras
ミュラMyrrhaが父father・キニュラスCinyrasに対する愛情を年老いた乳母nannyに打ち明けると、乳母nannyは、妻が夫のベッドに近寄ってはいけないことになっているキュプロス島Cyprusの祭りの期間中に、娘daughterであることを隠し、ただキニュラスCinyrasを愛している少女とのみ言って、暗い中でキニュラスCinyrasとミュラMyrrhaの父娘Father and daughterを引き合わせた。
ミュラMyrrha キニュラスCinyras
幾晩か関係を持ったのち、キニュラスCinyrasは部屋にランプを持ってきて少女の顔を見た。
少女の正体を知って、彼は彼女を殺そうとした。
没薬樹(もつやくじゅ) Myrrh tree ミルラの木 Myrrh
tree
しかし彼女は逃げて、最後に南アラビアArabiaのシバ人の国に来たところで、神々は彼女をミルラ(没薬)の木myrrh treeに変じた。
The
Birth of Adonis
彼女は妊娠pregnantしていて、出産の女神Goddess of childbirth・エイレイテュイアEileithyiaがその木の幹Tree trunkから赤ん坊babyのアドニスAdonisを生まれさせた。
あるいは、猪boarが木treeにぶつかり、その牙が作った割れ目から赤ん坊babyが生まれたとも言う。
キニュラスCinyrasの系譜についての他の説によれば、彼はティトノスTithonusとエオスEosの子孫であるシリアSyriaのサンドコスSandocesの息子sonであるという。
彼はまたキュプロス島Cyprusへ移住したキリキア人the Ciliciansと言われることもある。
トロイアの木馬 Trojan Horse
アガメムノンAgamemnonがトロイア戦争Trojan WarにおいてキニュラスCinyrasの協力を得るためにメネラオスMenelaus、オデュッセウスOdysseus、タルテュビオスTaltybiusをパポス市the city of Paphosに遣わしたとき、彼は50隻の艦隊fleet
of 50 shipsを約束しながら、実際にはそのうちの49隻までを、泥でできた乗組員を乗せた小さな泥船mud boatでごまかした。
彼の息子son・ミュグダリオンMygdalionが指揮する1隻は出帆したけれど、それに続いて進水した泥船mud boatは、当然のことながら、沈んだ。
キニュラスCinyrasの死に関しては2つの言い伝えがある。
ミュラMyrrhaとの近親相姦Incestのあとで自殺したとする説と、アポロンApolloに気に入られて高齢まで生き、キュプロス島Cyprusの女神Goddessであるアプロディテの神官priest
of Aphroditeとして、アプロディテAphroditeに献身して余生を送ったとする説とである。
Venus
and Adonis
アドニス Adonis
もとアジア系の神godで、ギリシア神話Greek mythologyに組み入れられた。
名前の起こりは「主」を意味するセム語Adonである。
各地で、常にアプロディテAphrodite、またはこれに相当する女神Goddessと関連して祭られている。
アドニスAdonisはふつうミュラMyrrha(またはスミュルナSmyrna)と、その父fatherであるキュプロス島CyprusのパポスPaphosの王King・キニュラスCinyras、またはエジプトEgyptのベリュス、またはアッシリアAssyriaのテイアスTheiasとの近親相姦Incestにより生まれた息子sonと言われている。
Myrrha
and Cinyras
ミュラMyrrhaがアプロディテAphroditeの祭礼festivalを怠ったため、アプロディテは彼女を父fatherへの激しい恋に陥らせた。
次にアプロディテAphroditeは、父father王Kingを騙して彼女の乳母nannyの手引きで彼女と一夜を過ごさせ、それで彼女はアドニスAdonisを身ごもった。
没薬樹(もつやくじゅ) Myrrh tree ミルラの木 Myrrh
tree
自分の所業を知った父fatherは彼女を殺そうとしたが、神々は彼女をミルラ(没薬)の木myrrh treeに変えた。
The
Birth of Adonis
やがてこの木treeに野猪wild boarが衝突して、その裂け目からアドニスAdonisが転がり出た。
一説によれば、出産の女神Goddess of childbirth・エイレイテュイアEileithyiaが、生まれる時が来た赤ん坊babyを木treeから取り出したとも言う。
子供の美しさに魅せられたアプロディテAphroditeは、子供babyを箱に入れてペルセポネPersephoneに養育を頼んだ。
ペルセポネ Persephone デメテル Demeter
ペルセポネPersephoneもその子の美しさに心を奪われてアプロディテAphroditeに返すことを拒んだので、ゼウスZeusが2人の女神Goddessの仲裁をした。
その判定には2つの説があって、第1の説によれば、アドニスAdonisは1年の3分の1ずつをそれぞれの女神Goddessとともに過ごし、残る3分の1を自分の好きなように過ごすことをゼウスZeusから命ぜられ、自由な3分の1をアプロディテAphroditeと過ごしたという。
カリオペ Calliope
第2の説はゼウスZeusが判定することを嫌がったため、ムーサイthe Musesの1人カリオペCalliopeが判定を下すことになり、1年の半分ずつをそれぞれの女神Goddessに割り当てたという。
これらの物語は、植物と自然の神としてのアドニスAdonisの役割の名残りである。
2番目の伝説によれば、アプロディテAphroditeはカリオペCalliopeに対する罰punishmentとして、彼女の息子son・オルペウスOrpheusを死なせた。
Death
of Adonis
アプロディテAphroditeと一緒にいたとき、アドニスAdonisは生まれたと時と同様に野猪wild boarに突かれて死んだ。
森の中で狩りをしている時に襲われたのである。
襲ったのは彼を妬んで変装して来たアレスAresだとか、アプロディテAphroditeの夫のヘパイストスHephaestusだとか言う人もある。
アプロディテAphroditeはいつもアドニスAdonisに、危険な野獣狩りwild beast huntはやめるようにと警告していた。
オウィディウスOvidによれば、アプロディテAphroditeはアドニスAdonisに、戒めのためアタランテAtalantaの話を聞かせていたという。
アネモネ anemone
アプロディテAphroditeはアドニスAdonisの死を悲しむあまり、彼が死んだとき流した血の中から、血のように赤いアネモネanemoneの花を咲かせた。
別の説によれば、アプロディテAphroditeはペルセポネPersephoneに頼んで毎春4か月だけ彼を地上に生き返らせたともいう。
没薬(もつやく) Myrrh
没薬(もつやく) Myrrh
没薬(もつやく) Myrrhは、コンミフォラ属genus Commiphoraの多くの小さくてとげのある樹種thorny tree speciesから抽出されたガム樹脂gum-resinである。
Myrrh
is a gum-resin extracted from a number of small, thorny tree species of the
genus Commiphora.
ミルラ樹脂Myrrh resinは、香水perfume、香incense、薬medicineとして歴史を通じて使用されてきた。
Myrrh
resin has been used throughout history as a perfume, incense and medicine.
没薬樹(もつやくじゅ) Myrrh tree
ポスカposcaやワインwineと混合された没薬(もつやく) Myrrhは、古代の文化ancient cultures、一般的な喜びgeneral pleasureのために、そして鎮痛剤analgesicとして一般的であった。
Myrrh
mixed with posca or wine was common across ancient cultures, for general
pleasure, and as an analgesic.
薬理学pharmacologyでは、没薬(もつやく) Myrrhはうがい薬mouthwashes、うがい薬gargles、歯磨き粉toothpastesの消毒剤antisepticとして使用される。
In
pharmacology, myrrh is used as an antiseptic in mouthwashes, gargles, and
toothpastes.
それはまた擦り傷abrasionsおよび他の軽度の皮膚の病気minor skin ailmentsに適用されるかもしれないいくつかの塗布薬linimentsおよび癒しの軟膏healing salvesで使用される。
It
is also used in some liniments and healing salves that may be applied to
abrasions and other minor skin ailments.
没薬樹(もつやくじゅ) Myrrh tree ミルラの木 Myrrh
tree
没薬(もつやく) Myrrhは歯痛toothachesの鎮痛剤analgesicとして使用されており、打撲傷bruises、痛みaches、および捻挫sprainsのための塗布薬linimentに使用することができる。
Myrrh
has been used as an analgesic for toothaches and can be used in liniment for
bruises, aches, and sprains.
没薬(もつやく)樹脂Myrrh gumは、消化不良indigestion、潰瘍ulcers、風邪colds、咳cough、喘息asthma、肺鬱血lung congestion、関節炎の痛みarthritis pain、および癌cancerを治癒remedyすると一般に主張されている。
Myrrh
gum is commonly claimed to remedy indigestion, ulcers, colds, cough, asthma,
lung congestion, arthritis pain, and cancer.
Venus
and Anchises
アンキセス Anchises
カピュスCapysの息子son。
アッサラコスAssaracusの孫grandson。
トロイア王King of Troy・トロスTrosの曾孫Great-grandson。
ダルダニアDardaniaの王Kingで、アイネイアスAeneasの父father。
ガニュメデスの誘拐 The Abduction of Ganymede
かつてゼウスZeusがガニュメデスGanymedeを天上に連れ去ったとき、その返礼としてゼウスZeusがトロスTrosに贈った駿馬(しゅんめ)swift horseの血を引くラオメドンLaomedonの馬を何頭か盗み、自分の馬の種馬stallionとした。
ある日、トロイアTroyのイデ山Mount Idaで羊sheepの世話をしていたアンキセスAnchisesのもとにアプロディテAphroditeが訪れた。
アプロディテAphroditeはゼウスZeusをはじめとする神々に恋心を引き起こさせる帯を持ち、それを弄(もてあそ)んでいたが、それを怒ったゼウスZeusが今度はアプロディテAphroditeに人間の男と恋をするように仕向けたためだった。
Venus
as Huntress Appears to Aeneas
人間の娘に姿を変えて現れたアプロディテAphroditeとアンキセスAnchisesは情を交わし、女神GoddessはアイネイアスAeneasを産んだ。
アプロディテAphroditeが身分を明かすと、アンキセスAnchisesはこれまで女神Goddessの愛人となった人間たちが受けた罰を思って恐れおののいた。
しかし女神Goddessは、このことを秘密にする限り罰せられることはないと告げた。
アイネイアスAeneasは5歳になるまでイデ山Mount Idaのニンフたちnymphsに育てられ、そのあとアプロディテAphroditeから父親fatherのもとへ返された。
アンキセスAnchisesはある日一杯機嫌で、アプロディテAphroditeと交わったことがあると自慢してしまった。
そのためゼウスZeusに罰せられて雷に撃たれて足を引きずるようになり、アプロディテAphroditeにも棄てられた。
負傷して手当てを受けるアイネイアスAeneas、傍らには泣くアスカニオスAscaniusと彼らを見守るアプロディテAphrodite
トロイア戦争Trojan Warのとき、アンキセスAnchisesは老齢と不自由な足のため武勲をあげることはできなかったが、息子sonのアイネイアスAeneasがダルダニアDardania軍の先頭に立った。
トロイアが陥落the fall of Troyしたとき、アイネイアスAeneasはイデ山Mount Idaに逃げようとしたが、アンキセスAnchisesはその場をなかなか去ろうとしなかった。
孫grandsonのアスカニオスAscaniusの頭上に炎がたち、星が流れるという2つの兆を見て神意を知ると、ついにアンキセスAnchisesは息子sonの背に負われて、炎上するトロイアTroyの町をあとにしてイデ山Mount Idaへ退いた。
炎上するトロイアから脱出するアイネイアス Aeneas flees burning Troy
アスカニオスAscanius アイネイアスAeneas アンキセスAnchises クレウサCreusa
ウェルギリウスVergilius(バージルVergil)によると、アンキセスAnchisesはアイネイアスAeneasとともに新生トロイア建設のための地を捜して各地をめぐるうち、シシリア島Sicilyのドレパノンで没したという。
別の説では、アンキセスAnchisesはアルカディアArcadiaで没し、アンキシア山近くに埋葬された。
クマイのシビュレ Cumaean Sibyl
アイネイアスAeneasがイタリアItalyのクマイCumaeに到着したとき、その地の巫女priestess・シビュレSibylが彼を冥界the Underworldへ伴い、エリュシオンの野Elysian Fieldsにいる父father・アンキセスAnchisesの亡霊Ghostに会わせてくれた。
父fatherの亡霊Ghostは、やがて息子sonが建国するローマRomeの未来を語り、ローマの偉大な民として生まれる魂たちに会わせてくれた。
負傷して手当てを受けるアイネイアスAeneas、傍らには泣くアスカニオスAscaniusと彼らを見守るアプロディテAphrodite
アイネイアス Aeneas
ウェヌスVenus(アプロディテAphrodite)とトロスTrosの曾孫Great-grandsonで分家branch familyではあるがトロイアTroyの王族royal familyの1人であるアンキセスAnchisesとの息子son。
アイネイアスAeneasは、『イリアスIliad』 では、トロイア方でヘクトルHectorに次ぐ重要な武将であるが、彼が大きな役割を演じるのは、トロイア陥落the fall of Troy後、一族の生存者を率いてイタリアItalyに向かったときに起こった出来事においてである。
Virgil Reading the Aeneid to Augustus,
Octavia, and Livia
この物語はウェルギリウスVergilius(バージルVergil)の時代よりずっと前からあったが、アイネイアスAeneasのイタリアItalyへの旅と、やがてそこに落ち着くまでの物語を彼の傑作 『アエネイスAeneis(Aeneid)』 の主題にしたのはウェルギリウスVergiliusであった。
『イリアスIliad』 の中でアイネイアスAeneasは未来への希望を少しでも与えられた唯一のトロイア人Trojanであったが、それは、アイネイアスAeneasは将来トロイアTroyを支配し、ダルダノスDardanusの一族を滅亡より救うであろうとポセイドンPoseidonが予言したからである。
プリアモス Priam
プリアモスPriamがアイネイアスAeneasを正当に評価せず、自分の子供たちをひいきしていると不平を言っていたアイネイアスAeneasが、プリアモスPriamの後継者になったのは皮肉な成り行きであった。
もっとも、彼が支配するようになったのは元のトロイアTroyではない。
『イリアスIliad』 と 『アエネイスAeneis(Aeneid)』 の主人公をつなぐもう1つの関係は、ホメロスHomerがウェルギリウスVergilius(バージルVergil)と同様に、アイネイアスAeneasを一族の中で最も神を恐れる信心深い人物として描いていることである。
Venus
as Huntress Appears to Aeneas
アイネイアスAeneasはトロイアTroyに近いイデ山Mount
Ida中に生まれ、母・アプロディテAphroditeは彼をニンフたちnymphsに与えて育てさせた。
彼は5歳のときに父father・アンキセスAnchisesのところに連れて来られた。
トロイア戦争Trojan Warが始まると、アイネイアスAeneasはダルダニアDardania軍の大将となった(ダルダニアDardaniaはイデ山Mount Idaの中腹にある町)が、トロイア軍Trojan armyの総司令官はヘクトルHectorであった。
アイネイアスAeneasは、プリアモスPriamがヘクトルHectorに絶対の権力を与える一方で自分を馬鹿にしていること、また自分の町がトロイアTroy(別名イリウムIlium)の支配下にあることを不快に思っていた。
アキレウス Achilles
アキレウスAchillesがアイネイアスAeneasをダルダニアDardaniaから追い出したので、アイネイアスAeneasはリュルネソスLyrnessosに逃れ、そのためアキレウスAchillesはこの町をも略奪した。
トロイアTroy地方の諸国民は最も堅固な要塞であるトロイアTroyに逃れざるを得なかった。
アイネイアスAeneasも、『イリアスIliad』 に描かれている事件の間トロイアTroyにいた。
クレウサ Creusa
アイネイアスAeneasはプリアモスPriamの娘daughterの1人クレウサCreusaと結婚marriageし、息子son・アスカニオスAscaniusをもうけた。
トロイア陥落the fall of Troy後のアイネイアスAeneasの身の上については幾つかの説がある。
一説によれば、ウェヌスVenus(アプロディテAphrodite)はアンキセスAnchisesにトロイア陥落the fall of Troy前にイデ山Mount
Ida上に逃れるように警告し、アイネイアスAeneasも、ラオコオンLaocoonの死という前兆に恐れをなして、陥落fallしないうちにトロイアTroyを逃れたという。
ネオプトレモス Neoptolemus
『小イリアスLittle Iliad』 では、アイネイアスAeneasはネオプトレモスNeoptolemusに捕えられてその奴隷slaveになったことになっている。
また、トロイアTroyの大部分が陥落fallしたのち、アイネイアスAeneasは市の要塞City fortress・ペルガモンPergamumを守ろうとしたので、その心を尊敬したギリシア軍Greek armyとの協定によってついにトロイアTroyを去ったという話もある。
アイネイアスAeneasが父・アンキセスAnchisesを背負って炎に包まれるトロイアTroyを逃れたという話は、ウェルギリウスVergilius(バージルVergil)よりずっと古い。
アイネイアスAeneasの海上の放浪の話や、シシリア島SicilyやカルタゴCarthageとの関係の話も同様である。
アイネイアスAeneasがイタリアItaly中部まで来たという考え方は、少なくとも紀元前5世紀までさかのぼる。
Aeneas
Bearing Anchises from Troy
ウェルギリウスVergilius(バージルVergil)が詳しく述べたローマRomeの言い伝えによれば、アイネイアスAeneasは、燃えるトロイアTroyの街路で、少数の従者とともに最後の抗戦を試みたが戦況は不利であった。
アイネイアスAeneasは王宮でプリアモスPriamの死とネオプトレモスNeoptolemusの勝利を目の当たりにした。
アイネイアスAeneasは自宅へ戻り、母mother・ウェヌスVenus(アプロディテAphrodite)の導きと、前の晩に見た夢でヘクトルHectorの亡霊Ghostから与えられた言葉に従って、持てるものだけを持ってトロイアTroyから逃れようと決意した。
炎上するトロイアから脱出するアイネイアス Aeneas flees burning Troy
アスカニオスAscanius アイネイアスAeneas アンキセスAnchises クレウサCreusa
父father・アンキセスAnchisesは最初行くことを拒んだが、アスカニオスAscaniusの頭に光る小さな炎と大きな轟く雷鳴の2つの前兆があったので、やっと気が変わった。
こうして一同はトロイアTroyの家を棄てて、イデ山Mount Idaに向かった。
アイネイアスAeneasは足の悪い年老いた父father・アンキセスAnchisesを背負い(その父fatherも家の守り神ペナテスを小脇に抱えていた)、アスカニオスAscaniusの手を引いた。
妻wife・クレウサCreusaがその後について行ったが、煙の立ち込める暗い市内を歩いているうちに別れ別れになり、行方が分からなくなった。
苦悩するアイネイアスAeneasは戻って妻wifeを探し求めたが、妻wifeの亡霊Ghostだけが現れて探索をやめるように警告した。
ポリュドロス Polydorus
残ったトロイア人Trojans(アイネイアスAeneasとともにイデ山Mount
Idaに逃れた者は他にもたくさんいた)は何か月もそこにとどまって船を建造し、やがてアイネイアスの手で進水させられたが、アイネイアスAeneasは最終的にどこに落ち着くことになるかをまだ知らず、ただトラキアThraceに1市を建設したいと望んでいた。
ところがトラキアThraceではプリアモスPriamの末子youngest child・ポリュドロスPolydorusの亡霊GhostがアイネイアスAeneasに警告して一行を立ち去らせた。
アポロンApolloの神託oracle
アイネイアスAeneasがさらに船を進めてデロス島the island of Delosまで来ると、一族の「昔の母」を探すようにというアポロンApolloの神託oracleがあった。
アンキセスAnchisesはこれはクレタ島Creteのことであろうと考えたが、それは彼の先祖ancestorのテウクロスTeucerの出身地Birthplaceがクレタ島であり、テウクロスTeucerの孫grandsonのイロスIlusがトロイアTroyを創建したからである。
クレタ島Creteに着いた一行は飢饉famineに見舞われた。
夢の中でアイネイアスAeneasは家の守り神household godのお告げを聞いたが、それによればアポロンApolloの神託oracleのいう母国Motherlandとは、テウクロスTeucerの国ではなくて、ヘスペリアHesperia(イタリアItaly)出身の義理の息子son-in-law(イロスIlusの父father)であるダルダノスDardanusの国のことであった。
ハルピュイアイ Harpies
アイネイアスAeneasは再び出帆set sailしたが、嵐stormのためストロパデス群島the
Strophadesに吹き寄せられ、そこでトロイア人たちTrojansは怪鳥Phantom bird・ハルピュイアイHarpiesに襲われた。
ハルピュイアイHarpiesの1人ケライノCelaeno(「黒い女、真っ黒な嵐の雲」)は彼らに警告して、彼らが空腹のあまり食卓を食べるようになるまでは、新しい国に着くことができないであろうと言った。
トロイア人たちTrojansは船を進めてエピルスのブトロトゥムまで来たが、そこでは同じトロイア人Trojanの予言者Prophet・ヘレノスHelenusが、ヘクトルHectorの未亡人widowのアンドロマケAndromacheを妃Queenとして王位throneについていた。
ヘレノス Helenus
ヘレノスHelenusはアイネイアスAeneasにシシリア島Sicilyのドレパヌムに行くように指示し、そこで大国を創建することになるであろうと告げた。
トロイア人たちTrojansは、怪物・スキュラScyllaとカリュブディスCharybdisを避けて、ドレパヌムのエリュクスEryx山に近いところに到着したが、そこにはアイネイアスAeneasの母mother・ウェヌスVenus(アプロディテAphrodite)の神殿templeがあった。
この地でアンキセスAnchisesは死んで葬られた。
トロイア人たちTrojansはイタリアItalyへ向かって北へ航海したが、ユノJuno(ヘラHera)は彼らが新しいトロイアTroyを創建しようとする計画を阻むため、風の神god of winds・アイオロスAeolusに頼んで風袋の口を開かせ、嵐を吹き送って艦隊fleetを難破させようとした。
The Trojan hero Aeneas tells Dido of the
Trojan War. In the Aeneid Dido falls in love with Aeneas and is heartbroken
when he leaves.
しかしネプトゥヌスNeptune(ポセイドンPoseidon)が波を鎮めたので、トロイア人たちTrojansは無事アフリカAfricaに着いたが、そこは女王Queen・ディドDidoが新たに建国しようとしていたカルタゴCarthageの近くであった。
息子sonの幸せを願うウェヌスVenus(アプロディテAphrodite)は、アイネイアスAeneasの息子son・アスカニオスAscaniusに変装したクピドCupid(エロスEros)を遣わして、ディドDidoがアイネイアスAeneasを恋するようにさせた。
ユノJuno(ヘラHera)はアイネイアスAeneasのイタリアItalyに定住する計画が挫折することを願って、洞窟の中で2人を結び合わせた。
しかしディドDidoがいくら懇願しても、アイネイアスAeneasは彼女と正式に結婚marriageしようとしなかった。
これはユピテルJupite(ゼウスZeus)がメルクリウスMercury(ヘルメスHermes)を遣わして、アイネイアスAeneasに使命を思い出し、早くカルタゴCarthageから去るよう警告したからである。
Death of Dido
アイネイアスAeneasは船から陸地に火焔を見たが、それは薪に焼かれるディドDidoの死体から立ち上がる炎で、彼女は自殺したのであった。
シシリア島Sicilyに帰ったアイネイアスAeneasは、トロイア人Trojanを母motherに持つエリュクスEryxの王King・アケステスAcestesに歓迎された。
アイネイアスAeneasは父father・アンキセスAnchisesの1周忌の葬礼競技the funeral gamesを催したが、ユノJuno(ヘラHera)はトロイアTroyの女たちの一部をそそのかして、これ以上航海を続けることに抗議するため船に火をつけさせた。
数隻の船が燃えたが、ユピテルJupiter(ゼウスZeus)が雨を降らせて残りを救った。
ヘラ Hera
アイネイアスAeneasは、一番年をとって体の弱い者たちに、エリュクスEryxのアケステスAcestesのもとに留まることを許した。
彼らはシシリア島Sicilyのエゲスタ市を創建した。
若い有能な従者たちを連れてイタリアItalyに向かう途中、アイネイアスAeneasは、舵取りのパリヌルスPalinurusと、もとヘクトルHectorの従者であったミセノスMisenusとを失った。
2人の名に因んだ岬capeがイタリアItalyにある。
クマイのシビュレ Cumaean Sibyl
クマイCumaeでアイネイアスAeneasは、年老いた女予言者Old woman
seeer・シビュレSibylに伺いを立て、その指示に従ってアウェルヌス湖のほとりの森で「黄金の枝」を発見した。
このお守りを持ってアイネイアスAeneasとシビュレSibylは冥界the Underworldに下った。
冥界the
UnderworldでアイネイアスAeneasは多くの亡霊Ghostに会い、その中にはディドDidoもいたが、彼女は彼に一言も声をかけず顔を背けた。
父father・アンキセスAnchisesの霊Ghostは、彼の一族の運命とローマRomeの将来についておよそのことを告げた。
これを聞いて安心したアイネイアスAeneasは、シビュレSibylとともに冥界the Underworldから仲間のもとへ戻った。
ティベリス川 the River
Tiber
それから彼らはティベリス川the River Tiberに向けて船を進め、その岸に上陸して食事をとった。
彼らは空腹の極みに達していたので、食卓代わりにしていた平たい小麦のパンまで食べてしまった。
そこでアスカニオスAscaniusは、ハルピュイアイHarpiesのケライノCelaeno(「黒い女、真っ黒な嵐の雲」)の予言が実現したことを指摘した。
ラティヌスLatinus アマタAmata
ラウィニア Lavinia
彼らがやって来た国は、その王King・ラティヌスLatinusに因んでラティウムLatiumと名付けられた国だった。
王Kingと妃QueenのアマタAmataは1人娘an only daughterのラウィニアLaviniaを隣国のルトゥリ人Rutuliansの王King・トゥルヌスTurnusに与えることを約束していた。
しかし、アイネイアスAeneasが来る前から、ラウィニアLaviniaは異邦人foreignerと結婚marriageしなければならないという神託oracleがあった。
Aeneas at the Court of Latinus
そこでラティヌスLatinusはアイネイアスAeneasを娘daughterの結婚相手Marriage partnerにふさわしい候補者と認めて彼を歓迎したが、またユノJuno(ヘラHera)がこれに横槍を入れ、冥界the Underworldから復讐の女神Goddess of revenge・フリアイFuries(エリニュエスErinyes)の1人アレクトAlecto(「休まぬ女unceasing」)を遣わして、王Kingの妻wife・アマタAmataに2人の結婚marriageを反対させた。
エリニュエス Erinyes
アレクトAlectoはトゥルヌスTurnusを唆(そそのか)して異邦人foreignersたちとの戦いを起こさせたので、トゥルヌスTurnusは味方を呼び集めたが、その中にはウォルスキ人the VolscianのカミラCamillaやエトルリアEtruriaから追われていたメゼンティウスMezentiusらを含む近隣の王たちNeighboring kingsの多くが含まれていた。
パランティウム Pallantium (パラティヌスの丘 Palatine Hillのある所)
パラティヌスの丘 Palatine Hill
アイネイアスAeneasの方でも、メゼンティウスMezentiusの残虐な行為を憎んでいたエトルリア人Etruscansや、トロイア人Trojanと血のつながりがあり、最近パランティウムPallantium(パラティヌスの丘the Palatine
Hillのある所)に自分の植民地を創設したばかりのアルカディアArcadiaから移住した英雄hero・エウアンデルEvander(エウアンドロスEuandros)などを味方につけていた。
エウアンデル Evander (エウアンドロス Euandros)
Castel Gandolfo on a
long, sunlit ridge overlooking Lake Albano, the most likely site of ancient
Alba Longa.
パランティウムPallantiumに向かって出発する前にアイネイアスAeneasは夢を見たが、その中でティベリス川the River Tiberの神は彼に、途中で30匹の子豚を連れた大きな白い牝豚に出会うが、その場所で30年後にアスカニオスAscaniusが1つの市を創建し、それを牝豚に因んでアルバ・ロンガAlba Longa(「白くて長いもの」)と呼ぶであろうと告げた。
アイネイアスAeneasはユノJuno(ヘラHera)の怒りを和らげようと思って、その豚を彼女に捧げた。
ウェヌスVenus(アプロディテAphrodite)の依頼によって、アイネイアスAeneasのための新しい武具が火の神・ウゥルカヌスVulcan(ヘパイストスHephaestus)の手で作られた。
Aeneas defeats Turnus.
The female on the left is Venus, Aeneas'
mother, who supported him during the battle.
The female on the right must be Turnus'
sister, the nymph Juturna, who was forced by a Fury (transformed to a black
bird sent by Jupiter) to abandon Turnus to his fate.
アイネイアスAeneasの留守中にトゥルヌスTurnusがその陣営を襲い、船を焼こうとしたが、ネプトゥヌスNeptune(ポセイドンPoseidon)によって船はニンフnymphに変えられ泳ぎ去った。
ニノスとエウリュアロスEuryalusという2人のトロイア人TrojansがトゥルヌスTurnusの陣営を通り抜けてアイネイアスAeneasに襲撃のことを知らせようとしたが殺された。
メゼンティウスMezentiusを倒したアイネイアスAeneas
アイネイアスAeneasが戻ってみると戦況は不利で、エウアンデルEvander(エウアンドロスEuandros)の若い息子・パラスPallasその他多くの味方が戦死したが、アイネイアスがメゼンティウスMezentiusとその息子・ラウススLaususとを討ってから戦況が逆転した。
休戦が提議され、トゥルヌスTurnusは一騎討ちで勝敗を決することに賛成した。
しかし、ユノJuno(ヘラHera)がラティニ人たちLatinsを動かして協定を破らせ、その後の戦闘でアイネイアスAeneasは負傷した。
ウェヌスVenus(アプロディテAphrodite)がその傷を治し、アイネイアスAeneasはラティヌスLatinusの支配するラウレントゥムを攻めた。
ラティヌスLatinus アマタAmata
その攻撃の勢いの激しさに、アマタAmataはトゥルヌスTurnusが戦死したものと思って自殺した。
Aeneas defeats Turnus.
The female on the left is Venus, Aeneas'
mother, who supported him during the battle.
The female on the right must be Turnus'
sister, the nymph Juturna, who was forced by a Fury (transformed to a black
bird sent by Jupiter) to abandon Turnus to his fate.
トゥルヌスTurnusは再び休戦を申し出て、一騎討ちを提案した。
しかし泉のニンフnymphでトゥルヌスTurnusの姉妹sisterにあたるユトゥルナJuturnaは、以前は彼を助けてアイネイアスAeneasから守っていたのに、今度は彼を見捨てた。
アイネイアスAeneasはトゥルヌスTurnusを打ち倒した。
慈悲を乞うトゥルヌスTurnusの願いに心を動かされそうになったとき、アイネイアスAeneasは、トゥルヌスTurnusがパラスPallasの剣帯を戦利品として腰に付けているのを見て、即座に彼を斬り殺した。
ラウィニア Lavinia
アイネイアスAeneasはラウィニアLaviniaと結婚marriageし、ラティニ人Latinsとトロイア人Trojansとが合併して作った国の王Kingとなった。
しかしユノJuno(ヘラHera)の怒りを和らげるための条件として、トロイア人Trojansは、ユピテルJupiter(ゼウスZeus)の命により、自国の言葉や風習は棄てて、イタリアItalyのやり方に合わせることにした。
アイネイアスAeneasは新しい市を創建し、妻・ラウィニアLaviniaに因んでラウィニウムLaviniumと名付けた。
歴史時代historical
periodもこの土地ではウェヌスVenus(アプロディテAphrodite)、ウェスタVesta(ヘスティアHestia)、およびトロイアTroyの守り神ペナテスPenatesに対する信仰が厚かった。
Landscape with Ascanius Shooting the Stag of
Sylvia
アイネイアスAeneasの息子son・アスカニオスAscaniusはアルバ・ロンガAlba
Longa市を創建し、これがトロイアTroyの血を引く新しいラティニ民族Latinsの首都capitalとなった。
The Shepherd Faustulus Bringing Romulus and
Remus to His Wife
それから何世紀ものちに、かつてアイネイアスAeneasがエウアンデルEvander(エウアンドロスEuandros)を訪れたパランティウムPallantium (パラティヌスの丘Palatine Hillのある所)のあった所にロムルスRomulusがローマRomeを創建した。
クレオパトラCleopatraをエジプト女王Egyptian Queenへ据えるカエサルCaesar
アスカニオスAscaniusはイウルスIulusとも呼ばれていたので、ユリウス・カエサルJulius Caesar (ジュリアス・シーザー)の一族はアイネイアスAeneasの子孫descendantsであると称していた。
アイネイアスAeneasの晩年に関する他の伝説によれば、彼はヌミキウス川の岸でディドDidoの姉妹sisterのアンナAnnaに会い、この川の水で浄められ、死後は神々の仲間に加えられたという。