2節 ヘラクレス Heracles
ヘラクレス Hercules 1997年(平成9年) ディズニーDisneyのアニメ映画
ヘラクレス Heracles
青果店 Green Grocer 2008年(平成20年)
青果店 Green Grocer 2008年(平成20年)
ヘラクレス Heracles
(ヘルクレス Hercules)
ギリシア神話Greek mythology最大の英雄The biggest hero。
半神Demigod。
最も人気が高く有名Most popular and
famousである。
ゼウスZeusとアルクメネAlcmeneとの息子son。
(ペルセウスPerseusの曾孫(ひまご) Great-grandchild。
ペロプスPelopsの玄孫(やしゃご) great‐great‐grandchild)
ペルセウス Perseus
ペロプス Pelops
ヘラ Hera (ユノ Juno)
アルゴス Argos
ヘラクレスHeraclesの名は文字通りには「ヘラの栄光Glory of Hera」という意味であるが、おそらくは「ヘラからの栄光ある贈り物Glory
gift from Hera」の意だったのであろう。
ヘラHera崇拝の中心地Center of worship・アルゴスArgosがヘラクレスHeraclesと関係の深いClosely related都市Cityと考えられるのは、こうした関連relationshipからである。
アルクメネ Alcmene
しかしヘラクレスHeraclesを産んだ母親motherに対する嫉妬jealousyから、ヘラHeraが執拗with insistenceに英雄heroを迫害persecutionする神話mythologyは、この関連relationshipと矛盾Contradictionするようである。
アルゴスArgosに対抗in rivalry withして、テバイThebesも古くから英雄heroと自分たちの都市Cityを結びつけConnectようとしており、ここでは英雄誕生の地Birthplace
of heroesについては、テバイThebes説Theoryをとった。
ゼウス Zeus
ゼウスZeusは当初at first、ヘラクレスHeraclesをアルゴス王King of Argosに、あるいは少なくとも、ミュケナイMycenaeとティリュンスTyrinsの王Kingにと考えていたが、ヘラHeraの策謀schemeにより、この計画は実現しなかった。
エウリュステウス Eurystheus
結局、ヘラクレスHeraclesは偉大な王Great kingになりそこねたばかりか、卑劣な男Sneaky man・エウリュステウスEurystheusに仕える奴隷slaveの身となった。
ギガントマキア Gigantomachy
しかし、幾多の試練Many trialsを乗り越えたあとは、神々Gods対ギガンテスGigantesの戦いbattle(ギガントマキアGigantomachy)において、神々Godsの側につき、巨人族Giantsを征服Conquestして神々Godsを救う運命Fateにある。
ヘラクレス Heracles
ヘラクレス Heracles
ヘラクレスHeraclesは誕生後After birthすぐに、偉大なゼウスZeusの子childであることを示した。
生後8か月 eight months oldになったある日、双子の兄弟Twin brotherのイピクレスIphiclesと一緒に揺り籠children's chamberがわりの丸い楯Round shieldの中で眠っていた。
ヘラ Hera (ユノ Juno)
夜も更けたころAround the end of
the night、ヘラクレスHeraclesを殺そうとしたTried to killヘラHeraが、揺り籠children's chamberの中に蛇snakeを2匹ほうり込んだThrown in。
イピクレスIphiclesが最初に気付き、叫び声Screamをあげた。
しかし、ヘラクレスHeraclesは平然と蛇snakesを両の手に1匹ずつ掴み、鎌首goose-neckを握って絞め殺したstrangled。
蛇snakeを殺すヘラクレスHeraclesに驚くアムピトリュオンAmphitryonとアルクメネAlcmene。
騒ぎに驚いてSurprised by the
commotion両親parentsが駆け付けたRushedが、父親fatherのアムピトリュオンAmphitryonはすぐに、どちらがゼウスZeusの子childであるかを知った。
アムピトリュオンAmphitryon自身が、2人の子供childrenの素姓identifyを確かめようとして、蛇snakesを投げ入れたThrown in、とする説もある。
ヘラクレスHeraclesの母mother・アルクメネAlcmeneはヘラHeraの嫉妬jealousyを恐れ、生まれたばかりの赤子babyを野fieldに捨てたAbandoned。
ヘラHeraとアテナAthenaは天界Heavenから地上Above groundへ降りる
しかしヘラHeraがこの近くを通ったとき、お供をしていたアテナAthenaは赤子babyを発見してその資質natureに驚異を感じ、赤子babyに母乳milkを与えるようにとヘラHeraに頼み込んだ。
しかしヘラクレスHeraclesが赤子babyとは思えない力でヘラHeraの乳房breastをつかんだので、あまりの痛さPainに女神Goddessは赤子babyを突き放したPushed outが、赤子babyが母乳milkを飲むのを見たアテナAthenaは、彼をアルクメネAlcmeneのもとに連れて行き、育てるよう勧めた。
天の川の起源 The Origin of the Milky Way
いくつかの文献Literatureは天の川の起源The
Origin of the Milky Wayがこのエピソードepisodeにあると主張insistしている。
それによるとヘラクレスHeraclesに乳milkを与えるため、ヘルメスHermesは彼を眠っているヘラHeraの寝所bedroomに行って吸わせた。
しかし吸う力があまりに強くSucking power is
too strong、ヘラHeraは激痛で目を覚ましWake up with severe pain、ヘラクレスHeraclesを払いのけたbrush awayので、たくさんの母乳milkがこぼれ、天の川Milky Wayになった。
アムピトリュオン Amphitryon
ヘラクレスHeraclesの教育educationには、多くのその道の達人master
in the fieldがあたった。
アムピトリュオンAmphitryonは馬術Equestrianと戦車Chariotを御す術を、オイカリアOechaliaの王King・エウリュトスEurytusは弓術Archeryを、アウトリュコスAutolycusは格闘術Martial artsを、ポリュデウケスPolydeucesはフェンシングfencingを教えた。
オルペウス Orpheusと エウリュディケ Eurydice
リノス Linus
楽人Musician・オルペウスOrpheusの兄弟brotherのリノスLinusは音楽musicを担当し、竪琴lyreを教えた。
しかし、不器用awkwardなヘラクレスHeraclesはなかなか上達しないIt's hard to
improve。
ついリノスLinusは彼を叱るScoldことになるが、ある日、カッとなったヘラクレスHeraclesは竪琴lyreで師Masterの頭headを打ち砕いてCrushしまった。
年端も行かぬof tender years少年boyだったが、ヘラクレスHeraclesは殺人罪Murderで訴えられた。
ラダマンテュス Rhadamanthus
それでも、正当防衛Self-defenseは罪に問わずRegardless of sin、とするクレタ島Creteの立法者legislatorであり死後は冥界the Underworldの裁判官judgeをしているラダマンテュスRhadamanthusの法Lawを引用して、堂々と法廷Courtで無罪Not guiltyを勝ち取った。
キタイロン山 Mount Cithaeron
このような事が2度と起こらないように、アムピトリュオンAmphitryonは少年boyにテバイThebesに近いキタイロン山Mount Cithaeronで、羊飼いshepherdの暮らしをさせた。
その地で、彼は急速に成長Rapid growthし、背は高くなかったが(と、ピンダロスPindarは言う。
しかし後代では、堂々たる偉丈夫(いじょうぶ)Imposing and strong manとされた)、強健Robustな、力あふれる逞しい若者Powerful and strong young manになった。
弓bowを好み、格闘wrestlingに強く、槍の名手Master of spearsでもあった。
ヘラクレスの選択 The choice of Hercules
ヘラクレスの選択 The choice of Hercules
キタイロンのライオン Cithaeronian lion (Lion of Cithaeron)
テスピアイ Thespiae
父fatherの家畜livestockをはじめ、隣国Neighboring countryテスピアイThespiaeの王King・テスピオスThespiusの家畜livestockも荒らしていたキタイロン山Mount Cithaeronのライオンlionを素手でwith bare hands退治exterminationしたのは、17歳のときだった。
(キタイロンのライオンthe Cithaeronian lion)(the Lion of Cithaeron)
(これは、アムピトリュオンAmphitryonの父father・アルカイオスAlcaeusの手柄とする説もある。)
テスピオス Thespius
ライオン狩りLion huntingのためにヘラクレスHeraclesがテスピオスThespius王Kingの城castleを訪れたとき、王Kingは彼を歓待Hospitalityし、娘daughterと寝床bedをともにさせた。
50日の間、彼を引き留め、50人の娘fifty daughtersを1人ずつ、毎晩彼の寝室bedroomへしのばせたとする説もある。
パウサニアスPausaniasは、1夜のうちに50人の娘fifty daughtersと交わったと伝えている。
ヘラクレスHeraclesは酩酊状態drunkennessだったため、1人の娘daughterと50回交わったと考えた。
やがて、50人の娘たちfifty daughtersはそれぞれヘラクレスHeraclesの息子sonを産んだ。
キタイロンのライオン Cithaeronian lion (Lion of Cithaeron)
キタイロン山Mount Cithaeronのライオン狩りLion
huntingを終えてテバイThebesへ帰る途中、テバイThebesへ年貢tributeを取り立てに行くオルコメノスOrchomenusのミニュアス人the Minyansの王King・エルギノスErginusの使者たちemissariesに出会った。
これは、テバイThebesで父father・クリュメノスClymenusを殺されて怒ったKilled and angryエルギノスErginusがテバイThebesを攻め、テバイ人the Thebansから武器weaponをことごとく取り上げ、毎年Every year、貢ぎ物tributeを納めるよう強いていたforced to payものである。
留守Absenceにしていた間の生まれ故郷Hometown・テバイThebesの屈辱Humiliationを知ったヘラクレスHeraclesは激怒rageした。
エルギノスErginusの使者たちemissaries
使者たちemissariesを捕え、彼らの耳earと鼻noseを切り取り、それらを縄ropeで彼らの首neckにくくりつけて年貢tribute代わりとし、エルギノスErginusに送り返した。
そのあとアテナ女神the goddess Athenaから武器weaponを授けられて、進軍MarchしてきたエルギノスErginusを討ち、ミニュアス人the Minyansを敗走Routさせた。
テバイThebesの民peopleは、かつて祖先ancestorが神々の神殿Temple of the godsに奉納Dedicationしていた武器weaponをとり、ヘラクレスHeraclesを助けてともに戦ったHelped and fought together。
エルギノス Erginus
エルギノスErginusを討ったヘラクレスHeraclesはオルコメノスOrchomenusを包囲Siegeし、夜陰に乗じてunder
cover of darkness 1人城壁に登りClimb the ramparts、エルギノスの城を焼き払ったBurned down the castle。
そして、オルコメノスOrchomenusには、テバイThebesに課せられてimposedいた2倍の年貢tributeを強要demandした。
テバイ王King of Thebes・クレオンCreonとメガラMegara
メガラ Megara
1度はOnce、ヘラクレスHeraclesをエルギノスErginusに引き渡そうhand overとしたテバイ王King of Thebes・クレオンCreonであったが、ヘラクレスHeraclesの武勲military exploitsをたたえ、褒美rewardとして娘daughterのメガラMegaraを彼に与えた。
メガラMegaraはヘラクレスHeraclesの3人の息子son・テリマコス、クレオンティアデス、デイコオンを産んだ。
イピクレス Iphicles
ヘラクレスHeraclesの双子twinの異父兄弟half-brother・イピクレスIphiclesにも、アルカトオスAlcathousの娘daughter・アウトメドゥサAutomedusaとの間に、やがてヘラクレスHeraclesのよき従者attendantとなるイオラオスIolausが生まれた。
ヘラクレスHeraclesがアムピトリュオンAmphitryonの故郷Hometown・アルゴスArgosに居を定めるべく出かけてテバイThebesを留守Absenceにしている間に、王King・クレオンCreonは没し、テバイThebesはエウボイアEuboeaのリュコスLycusに奪われていた。
一般にはクレオンCreonはリュコスLycusに殺されたと言われる。
テバイ王King of Thebes・クレオンCreonとメガラMegara
僭主tyrant・リュコスLycusには、クレオンCreonの娘daughter・メガラMegaraとその子供childrenたちの存在を恐れ、彼らを亡き者にしようTrying
to be deadとしたが、そこへ思いがけずヘラクレスHeraclesが帰国Return homeした。
ヘラ Hera (ユノ Juno)
ヘラクレスHeraclesはリュコスLycusを殺したが、喜びの祝賀Celebration of joyのさなか、ヘラHeraが突然ヘラクレスHeraclesに狂気madnessを吹き込んだInfusedため、狂ったcrazedヘラクレスHeraclesは弓bowをとると、3人の息子sonと、自ら楯shieldとなって子供childrenたちを守ろうとしたメガラMegaraを殺してしまった。
アムピトリュオン Amphitryon
アテナ Athena (ミネルウァ Minerva)
つづいて養父Foster father・アムピトリュオンAmphitryonを殺そうとしたが、アテナ女神the goddess AthenaがヘラクレスHeraclesの胸を打って気絶させたstruck his
chest and faintedため、アムピトリュオンAmphitryonは救われた。
イピクレスIphiclesの子供childrenたちもイオラオスIolausを除いて全員が殺された、とする説もある。
しかし、アポロドロスApollodorusでは、メガラMegaraは殺されずに、のちにヘラクレスHeraclesの甥nephewのイオラオスIolausと結婚marriageしたことになっている。
より一般的なヘラクレスHeracles物語taleでは、ヘラクレスの十二の難業The Twelve Labors of Herculesは妻子Wife and childを殺害murderしたことに起因すると説明されている。
テスピオス Thespius
殺人者murdererに対する法Lawに従ってテバイThebesを去った英雄heroは、古い友人Old friendであるテスピオスThespius王Kingのもとへ逃れた。
王Kingから罪を浄める儀式Ritual to purify sinを受けたが、それでもヘラクレスHeraclesは安息reposeを見出すことができない。
アポロンの神託所 Oracle of Apollo アポロン神殿 Temples of Apollo
デルポイの神託the Delphic oracle
エウリュステウス Eurystheus
そこでデルポイの神託the Delphic oracleを仰ぐと、ティリュンスTyrinsへ行き、領主Lord・エウリュステウスEurystheusの命ずる幾つかの仕事taskを行うようにとの託宣oracleが下りた。
難業Laborsの数は12とされているが、古代の語り手Ancient
narratorsたちは、12のうちの2つは、満足のいく偉業Satisfactory featではないという理由reasonからエウリュステウスEurystheusが認めなかった、と伝えている。
そこで、一般には、ヘラクレスHeraclesは本来は10の仕事taskをするように命じられたと考えられている。
(あるいは、エウリュステウスEurystheusに仕えた歳月Yearsが、12年間12 yearsと考えられることもある。)
ピュティア Pythia デルポイDelphiの巫女priestess
一説によれば、ヘラクレスHeraclesという名は、(ヘラHeraの怒りを鎮めようCalm
angerとするためであろうが)、このとき初めて、デルポイDelphiの巫女priestessによって名づけられたという。
それまでは、アムピトリュオンAmphitryonの父father・アルカイオスAlcaeusの名から、アルキデスAlcidesと呼ばれていたのである。
デルポイDelphiの巫女priestessは、それらの難業Laborsを成し遂げachieveれば、神々の仲間入りJoin
the godsが許されて不死性Immortalが与えられるとも告げた。
エウリュステウス Eurystheus
しかし、誇り高いProud英雄heroにとり、エウリュステウスEurystheusの奴隷slaveとして命じられるままに仕事taskを行うという屈辱Humiliationは耐え難いUnbearableものだった。
なぜならエウリュステウスEurystheusは度量の狭いnarrow-minded卑劣漢bastardであるばかりか、ヘラクレスHeraclesに予定されていた王座throneに運よく横すべりして座り込んだ男A man who was lucky
enough to slide sideways and sit down、と英雄heroは考えていたに違いないからである。
なかには、ヘラクレスHeraclesの狂乱madnessと妻子殺しKilling wife and
childは、エウリュステウスEurystheusに仕えよと命じたデルポイの神託the Delphic oracleに起因する、という説もある。
アンドロメダを救うペルセウス Perseus rescuing Andromeda
アムピトリュオンAmphitryon
アルカイオスAlcaeusの息子sonでペルセウスPerseusの孫grandson。
母motherはペロプスPelopsの娘daughter・アステュダメイアAstydameiaともリュシディケともいう。
ペルセウスPerseusの死後、アムピトリュオンAmphitryonの叔父Uncle・エレクトリュオンElectryonがミュケナイMycenaeのアルゴリスArgolisの王Kingとなった。
タポス人 the Taphians
アムピトリュオンAmphitryonはエレクトリュオンElectryonの娘daughter・アルクメネAlcmeneとの結婚marriageを望んだが、エレクトリュオンElectryonはタポス人the Taphiansが攻めてきて牛cattleを奪い息子sonたちを殺した敵を討つavengeまでは結婚marriageを許さないunforgivable、と言った。
しかしこの遠征expeditionに出発する前にエレクトリュオンElectryonはアムピトリュオンAmphitryonをエリスElisに送って、タポス人the Taphiansがそこに預けてあった牛cattleを取り返させた。
アムピトリュオン Amphitryon
エレクトリュオン Electryon
牛cattleを連れて帰ったアムピトリュオンAmphitryonは、牛cattleの1頭を押さえようとして手にした棒stickを投げたところ、過ってエレクトリュオンElectryonに当たって殺してしまった。
エレクトリュオンElectryonの兄弟brotherのステネロスSthenelusは殺人murderのかどでアムピトリュオンAmphitryonを追放Expulsionし、自分がミュケナイMycenaeの王位throneについた。
テバイ王King of Thebes・クレオンCreonとメガラMegara
アムピトリュオンAmphitryonはアルクメネAlcmeneを連れてテバイThebesに逃れ、そこで王King・クレオンCreonによって罪を浄められたPurified sin。
アルクメネAlcmeneの兄弟brotherの敵はまだ討たれていなかったが、その責任responsibilityはアムピトリュオンAmphitryonが負うことになり、それが遂行carry outされるまでは彼に結婚marriageの権利rightを認めないdenyとアルクメネAlcmeneは言った。
ゼウス Zeus
クレオンCreonはタポス人the Taphiansを攻めるのを援助assistanceしてくれた。
アムピトリュオンAmphitryonがテバイThebesに帰ってみると、アルクメネAlcmeneは彼の姿を見て驚いた様子もなく、なぜか前日、あるいは前夜帰国したような感じでいるので、アムピトリュオンAmphitryonは不審に思った。
その上、彼女の話によると、ついに結婚marriageは実行されたという。
テイレシアス Tiresias
アムピトリュオンAmphitryonがテバイThebesに住む預言者Prophet・テイレシアスTiresiasに聞くと、老預言者Old prophetは、ゼウスZeusがアムピトリュオンAmphitryonに姿を変えてアルクメネAlcmeneと1夜を過ごしたこと、さらにゼウスZeusは、立派な英雄heroを生むために夜の長さを普通の3倍に延ばしたことなどを語った。
アムピトリュオンAmphitryonはこの説明で納得した。
アルクメネAlcmeneはやがて双子twin sonsを産んだが、その1人はゼウスZeusの子child・ヘラクレスHeraclesで、もう1人はアムピトリュオンAmphitryonの子child・イピクレスIphiclesである。
イピクレスIphiclesの方がヘラクレスHeraclesよりはるかに力が劣っていた。
アムピトリュオンAmphitryonは続いてテバイThebesに住み、娘daughter・ペリメデPerimedeが生まれた。
テバイ王King of Thebes・クレオンCreonとメガラMegara
リュコスLycusがクレオンCreonの王位throneを奪ったとき、ヘラクレスHeraclesの一族全員を殺すと脅したが、ヘラクレスHeracles自身が帰ってきて家族を救った。
やがてヘラクレスHeraclesは気が狂って自分の子供childrenらを殺し、一説によれば妻wife・メガラMegaraも殺した。
アテナ Athena (ミネルウァ Minerva)
アムピトリュオンAmphitryonをも殺そうとしたが、アテナAthenaがヘラクレスHeraclesに石stoneを投げてこれを妨げた。
ヘラクレスHeraclesが十二の難業The Twelve Laborsをしなければならなかったのはこれらの罪のためである。
アムピトリュオンAmphitryonはオルコメノスの王King of Orchomenus・エルギノスErginusとミニュアス人the Minyansを相手に戦っているときに死んだ。
アルクメネAlcmene
エレクトリュオンElectryonとアナクソAnaxoの娘daughter。
(ペルセウスPerseusの孫Grandchild。ペロプスPelopsの曾孫(ひまご)Great-grandchild)
叔父であるティリュンス王King of Tyrins・アムピトリュオンAmphitryonの妻wife。
ヘラクレスHeraclesの母mother。
アルクメネAlcmeneの兄弟brotherたちは家畜livestockを掠奪plunderに行ってタポス人the Taphiansに殺された。
アムピトリュオンAmphitryonが彼女と床をともにしようとしたが、彼女は兄弟brotherの復讐を先にするRevenge
firstように命じた。
エレクトリュオン Electryon
アムピトリュオンAmphitryonは家畜livestockを取り戻したRegainedが、それをエレクトリュオンElectryonに返すときに過ってエレクトリュオンElectryonを殺してしまった。
このために彼はエレクトリュオンElectryonの兄弟brother・ステネロスSthenelusによって追放Exiledされた。
アルクメネAlcmeneはアムピトリュオンAmphitryonについてテバイThebesまで行ったが、それでもなお彼がタポス人the Taphiansに罰punishmentを加えるまでは彼の恋人になろうとしなかった。
彼は軍を起こして戦いを始めたRaise the army and
start the battle。
ギガントマキア Gigantomachy
この騒ぎはゼウスZeusの仕業であった。
ゼウスZeusは来るべきギガンテスGigantes(巨人族Giants)との戦い(ギガントマキアGigantomachy)に神々godsを救うSaveような勇敢な人間Brave manを生ませようと思い、この英雄heroを産むべき最も賢明で美しい女The wisest and most
beautiful womanとしてアルクメネAlcmeneを選んでいたのだった。
ゼウス Zeus
かくしてアルクメネAlcmeneはゼウスZeusの最後の人間の妾concubineになることになった。
アムピトリュオンAmphitryonが戦いから帰る日の夜、ゼウスZeusは彼女の夫husbandの姿figureでアルクメネAlcmeneに近づいた。
その後アムピトリュオンAmphitryon自身が帰ってきたとき、アルクメネAlcmeneがその晩すでに彼と寝たと言うので、彼はただちに何かおかしいことが起こったと知った。
預言者Prophet・テイレシアスTiresiasが真相を話して聞かせたので、アムピトリュオンAmphitryonはあきらめてそのまま結婚生活Marriage lifeを続けた。
ヘラクレスHeraclesを産むアルクメネAlcmene
アルクメネAlcmeneはヘラクレスHeraclesとイピクレスIphiclesの双子twin sonsを身ごもったが、イピクレスIphiclesだけがアムピトリュオンAmphitryonの息子sonであった。
出産birthのときが来ると、ゼウスZeusは、自分の子childである人間の支配者Human rulerがまもなく生まれるWill be
born soonと神々に自慢したBragging to the gods。
ゼウスZeusの妻wife・ヘラHeraは成り行きcourseを察知Detectし、ゼウスZeusがアルクメネAlcmeneの息子sonを彼女の故国Homelandの王Kingにするつもりであることを知った。
ヘラ Hera (ユノ Juno)
エイレイテュイア Eileithyia
そこでヘラHeraはお産の女神goddess of
childbirth・エイレイテュイアEileithyiaを遣わしてアルクメネAlcmeneの産室delivery roomの外に座らせ、あらゆる手段でその出産birthの邪魔Disturbをさせた。
エイレイテュイアEileithyiaは指や腕や足や足の指を組むCross your fingers, arms, legs and toesまじないcharmをしてお産childbirthの妨害Interferenceに取りかかった。
アルクメネAlcmeneがあわや息絶えんdieとするとき、侍女maidの1人・ガリンティアスGalanthisが大声で子供childが生まれたと叫んだ。
She announced that Alcmene had safely
delivered her child,
エイレイテュイアEileithyiaはびっくりして様子を見に行こうと立ち上がったsurprised
and stood up to see what was going onので、呪文incantationが解けてbreak双子twin sonsが生まれた。
オウィディウスOvidによればガリンティアスGalanthisという名のその侍女maidは、イタチweaselに姿を変えられたtransformed。
イタチ weasel
アムピトリュオンAmphitryonは妻wifeを不貞Unfaithfulのかどで焼き殺そうBurn to deathとしたことがあったが、ゼウスZeusが嵐を起こしたCaused
a stormので果たさfulfillなかった。
アムピトリュオンAmphitryonの死後、アルクメネAlcmeneはクレタ島CreteのラダマンテュスRhadamanthusと結婚marriageしボイオティアBoeotiaに住んだ。
別の説では、ヘラクレスHeraclesの死後、ミュケナイMycenaeとティリュンスTyrinsの王Kingで彼を迫害persecutionしたエウリュステウスEurystheusが彼女と孫GrandchildたちをアッティカAtticaに追い、彼らはマラトンMarathonに逃れた。
エウリュステウスEurystheusはアッティカAtticaを攻めたが、戦いに敗れて捕らえられたLost in battle and captured。
アルクメネAlcmeneは彼の死を要求した。
ラダマンテュス Rhadamanthus
彼女自身が死んだとき、棺Coffinの中に彼女の死体の代わりに大きな石large stoneが置かれ、彼女はヘルメスHermesによって幸福の島Island of happinessに運ばれ、そこで冥府Underworldの裁判官judgeになっていたラダマンテュスRhadamanthusの妻wifeとなった。
エウリュステウスEurystheus
「あまねく強者broad strength」の意。
ステネロスSthenelus(ペルセウスPerseusの息子son)とニキッペNicippe(ペロプスPelopsの娘daughter)もしくはメニッペとの息子son。
(ペルセウスPerseusの孫grandson。ペロプスPelopsの孫grandson。)
ミュケナイMycenaeやティリュンスTyrinsを含むアルゴリスの王King of Argolis。
ヘラクレスHeraclesの最も非情なる敵であり、ヘラクレスHeraclesは彼の奴隷slaveとして十二の難業The Twelve Laborsを遂行した。
その理由は以下の如くである。
ヘラクレスHeraclesを産むアルクメネAlcmene
ゼウスZeusの卓越した人間の息子sonであるヘラクレスHeraclesがアルクメネAlcmeneのもとに生まれる少し前に、ゼウスZeusの妻wife・ヘラHeraは、すべての英雄たちheroesの中で最も偉大な者の誕生に関わりあえないことを嫉妬jealousyして、その赤児babyに生まれたときから約束されているアルゴリスArgolisの支配権dominionを奪おうと決意した。
ゼウス Zeus
ゼウスZeusは神々Godsを前にして、ヘラクレスHeraclesの誕生birthが差し迫っているとつい口をすべらせ、その日こそ、ゼウスZeus自身の血族の人間が女から生まれ、やがて周りに住む人々を支配するようになる、と誇らしげに言った。
しかしながら、ステネロスSthenelusの妻wife・ニキッペNicippe(あるいはメニッペ)がたまたまその時7か月の身重であり、ステネロスSthenelusはペルセウスPerseusの子childであったので、彼の息子sonもヘラクレスHeraclesと同等にゼウスZeusの予言Prophecyを満たす資格rightがあった。
しかも、アムピトリュオンAmphitryonが、ミュケナイMycenaeの前王Former kingでステネロスSthenelusの兄弟brotherのエレクトリュオンElectryonを過って殺したあと、ステネロスSthenelusが王位throneを手中に収めていた。
ヘラ Hera (ユノ Juno)
エイレイテュイア Eileithyia
そこでヘラHeraは、出産の女神goddess of
childbirth・エイレイテュイアEileithyiaの助けを借りて、エウリュステウスEurystheusの誕生birthを早め、アルクメネAlcmeneの出産childbirthを遅らせた。
侍女maidのガリンティアスGalanthisが策略によって女神goddessの計画を欺いたため、アルクメネAlcmeneはヘラクレスHeraclesを出産childbirthしたが、時すでに遅く、ヘラクレスHeraclesはゼウスZeusの予言Prophecyを満たすことができなかった。
このようにしてエウリュステウスEurystheusはアルゴリスArgolisの王位throneを継承した。
テバイ王King of Thebes・クレオンCreonとメガラMegara
アポロンの神託所 Oracle of Apollo アポロン神殿 Temples of Apollo
デルポイの神託the Delphic oracle
そして、ヘラクレスHeraclesが狂気の発作Crazy seizuresのなかで妻wifeのメガラMegaraと子供childrenたちを殺したとき、デルポイの神託the Delphic oracleは彼に、エウリュステウスEurystheusの奴隷slaveになること、そして奴隷slaveのままで10(あるいは12)の難業Laborsを達成Achievementすることを命じたのだった。
エウリュステウスEurystheusはヘラクレスHeraclesの力Strengthと彼のアルゴリスArgolis王位throneへの権利rightとを妬んで、彼に、ゼウスZeusの本当の息子sonでゼウスZeusに愛されている者でなければとうてい果たし得ないような、いくつかの困難な仕事difficult taskを課した。
エウリュステウスEurystheusは臆病な男Cowardly manだった。
たとえば、ヘラクレスHeraclesがネメアのライオンthe Nemean Lionの毛皮skinを彼のところに持って行ったとき、彼は青銅の貯蔵壺bronze winejarの中に隠れてしまった。
エウリュステウス Eurystheus
その後彼はヘラクレスHeraclesに、彼の市city(それがティリュンスTyrinsであるかミュケナイMycenaeであるかは定かでない)に入ることを禁じ、叔父Uncleで伝令使heraldのコプレウスCopreusを通じて、彼に指示を与えた。
エウリピデスEuripidesの戯曲Drama『ヘラクレスの子供たちHeracleidae』においては、彼は臆病者Cowardly manというよりは、残酷な人間Cruel humanとして描かれている。
ヘラクレスHeraclesがオリュムポスOlympusに上がったあとも、エウリュステウスEurystheusは彼の子供childrenたちを苦しめることによって、彼への迫害persecutionを続行Continueした。
トラキス Trachis
トラキスTrachis王King・ケユクスCeyxは、ヘラクレスHeraclesの子供childrenたちを保護することを拒んだ。
テバイ王King of Thebes・クレオンCreonとメガラMegara
イオラオス Iolaus
冥界the Underworldから生還SurvivalしたヘラクレスHeraclesの不死身Immortalはこうして保証guaranteeされたが、しかしまだ、人間として生きるべき余生rest of Life to live as a humanが残っていたleft。
最終の安息Final restを得るまでには、再び奴隷slaveとして仕える一時期For a whileもあった。
さて、十二の難業the Twelve Laborsをすべて成し遂げたaccomplishあと、最初にヘラクレスHeraclesがしたことは(殺されたのは子供childrenたちだけで、メガラMegaraは殺されなかったとする説では)メガラMegaraと離婚divorceし、彼女を甥nephewのイオラオスIolausと再婚Remarriageさせることだった。
メガラMegaraとの間に生まれた子供childrenたちを殺した自分には、もはやメガラMegaraの夫husbandたる資格qualificationはない、という理由reasonからである。
イオレ Iole
エウリュトス Eurytus
そのあと、オイカリアOechaliaの王King・エウリュトスEurytusが主催する弓術大会the archery contestに参加した。
その勝者winnerは褒美rewardに王Kingの娘daughter・イオレIoleが与えられることになっていた。
ヘラクレスHeraclesは勝ったが、彼の不幸Unhappyな結婚marriageの前歴Previous historyを知った王Kingは、娘daughterを与えることを断った。
英雄heroの武勇Braveを尊敬RespectするイピトスIphitusがひとり父王Father KingにとりなしてくれたIntervenedが、無駄uselessだった。
怒ったヘラクレスHeraclesはオイカリアOechaliaを去った。
そのとき、王Kingの所有Ownする牝馬Mareか、あるいは牛cattleが数頭いなくなったA few
are gone。
(のちにこれは、アウトリュコスAutolycusが盗んだstoleと判明Turned outした。)
イピトス Iphitus
イピトスIphitusはヘラクレスHeraclesのあとを追い、それらを捜してくれるよう頼んだ。
初め快く承知し、イピトスIphitusと連れ立って進んだヘラクレスHeraclesだったが、おそらく、イピトスIphitusの依頼requestの言外にある自分への疑惑Suspicion of myselfに腹を立てたget
angryのであろう、屋根の上On the roofから、あるいは城壁の上On the rampartsから、イピトスIphitusを突き落としてpushed down殺したkilled。
このむごたらしい行為cruel behaviorが自発的なものSpontaneousだったか、あるいは、ヘラHeraに狂気madnessを吹き込まれたInfusedためだったか、いずれにしろ、ヘラクレスHeraclesは正常な精神状態Normal mental stateではなかった。
ネレウス Neleus
ピュロスの王King of Pylos・ネレウスNeleusに罪の汚れSin stainを浄めてPurifyくれるよう頼んだBeggedが、イピトスIphitusの父father・エウリュトスEurytusの友人friendである王Kingは、それを拒んだRefused。
アポロンの神託所 Oracle of Apollo アポロン神殿 Temples of Apollo
デルポイの神託the Delphic oracle
ピュティア Pythia デルポイDelphiの巫女priestess
神託oracleを仰ぎに行ったデルポイDelphiでは、ヘラクレスHeraclesの狂暴な発作Violent seizuresを嫌う巫女priestess・ピュティアPythiaが、彼を追い払おうDrive awayとした。
ヘラクレスHeraclesは巫女priestessの座る聖なるHoly三脚台tripod standを奪い、デルポイDelphiの神殿the Temple of
Apollo at Delphiを破壊destroyすると脅したThreatened。
アポロン Apollo
神殿Templeの主・アポロンApolloが現れ、ヘラクレスHeraclesと取っ組み合いになったbecame a struggleが、ゼウスZeusが雷Thunderを投げて、2人the twoを引き離したSeparated。
巫女priestess・ピュティアPythiaが、3年間3 yearsの奴隷奉公Slave serviceを言い渡し、ヘラクレスHeraclesはそれを受けた。
エウリュトスEurytusには息子son・イピトスIphitusの死の賠償金compensation for
deathを支払うpayようにとも命じられたが、エウリュトスEurytusの方で、それを受け取らなかった。
ギリシア神話関連地図 Greek mythology related map
エペソス Ephesus
ヘルメス Hermes
ヘルメスHermesはヘラクレスHeraclesをリュディアLydiaのトモロスTmolus王Kingの寡婦widowであるオムパレOmphaleのところへ連れて行き、彼を奴隷slaveとして売り渡したsell over to。
オムパレOmphaleに仕えるserve間、英雄heroは多くの立派な仕事Many excellent workを行った。
エペソスEphesusに住む猿のような顔をした盗人A thief with a monkey-like face・ケルコペスCercopesを捕え、また旅人を捕まえてCatch the traveler自分の葡萄畑vineyardで強制労働Forced laborをさせていたリュディア人the
LydiansのシュレウスSyleusを殺した。
この時は、自分も畑で働く振りをしながら、持っていた鍬(くわ)hoeでシュレウスSyleusを打ち殺したのである。
オムパレ Omphale
オムパレOmphaleの敵enemyであるイトネ人Itonesを破り、その町cityを破壊した。
オムパレOmphaleはヘラクレスHeraclesに女装をさせ糸車を回す仕事をさせたとする説、あるいは、オムパレOmphaleはヘラクレスHeraclesの妻wifeとなり、二人の間にラモスLamos(アゲラオスAgelausともいう)が生まれたとする説もある。
オムパレOmphaleのもとでの3年の年季apprenticeshipが終わるころ、ヘラクレスHeraclesの狂気の発作Crazy seizuresを起こす病はすっかり癒えた。
テラモン Telamon アイギナ島island of Aeginaの王King・アイアコスAeacusとエンデイスEndeisとの息子Son
さて次の仕事next taskは、これまでヘラクレスHeraclesを冷遇し虐待したtreated coldly and abused者に対する復讐revengeだった。
まずはトロイアTroyの憎きラオメドンLaomedonからである。
サラミスSalamisのテラモンTelamonを副官Adjutantにして18隻からなる艦隊fleetを率い、トロイアTroyへ向け出発した。
トロイアTroyに上陸landingしたあと、船の番Take care of the
shipはオイクレスOiclesに任せたが、彼はトロイア人the Trojansに殺され、船団fleetには火が放たれようとしていた。
ヘラクレスHeraclesは城下castle townを包囲Siegeし、テラモンTelamonが真っ先に城壁castle wallを破って城内within the castleへ入った。
しかし、テラモンTelamonが自分より武勇に優れているExcellent in courageと妬んだjealousヘラクレスHeraclesは、テラモンTelamonを討とうとしたが、ヘラクレスHeraclesの祭壇altarを築こうBuildとしたのだ、というテラモンTelamonの答えanswerを喜び、怒りを和らげた。
ラオメドンLaomedonを殺そうとしているヘラクレスHeracles
Heracles about to kill Laomedon
ヘラクレスHeraclesはラオメドンLaomedon王Kingを殺し、またポダルケスPodarcesとティトノスTithonusを除く王Kingの息子sonたち全員を殺した。
ヘラクレスHeraclesに助けられるヘシオネHesione
ポダルケスPodarcesは、姉妹sisterのヘシオネHesioneが被っていたベールVeilを脱いで代償Compensationとし、命乞いをしてくれたBegged for lifeため救われたSavedのだった。
かくして、以前与えられると約束されたままだったトロイアTroyの名馬Famous
horseは、ついにヘラクレスHeraclesのものになった。
テラモンTelamonにはヘシオネHesioneが与えられ、2人の間にテウクロスTeucerが生まれた。
王King亡きあとのトロイアTroyは、救われた王子prince・ポダルケスPodarcesに与えられた。
ポダルケスPodarcesはやがて名をプリアモスPriamと改めた。
彼がヘシオネHesioneの払った代償によって命拾いをした事情から、プリアモスPriamの名は「私は買う」という意味の動詞プリマアイから派生した名前であるとする説があるが、正確には語根が似ているというだけのことである。
コス島 the island of Cos
ヘラ Hera (ユノ Juno)
ヘラクレスHeraclesはトロイアTroyからの帰途、ヘラHeraの送った暴風Stormにより南へ流されコス島the island of Cosに漂着strandingした。
ヘラ Hera (ユノ Juno)
このとき、ゼウスZeusは自分の息子sonに対するヘラHeraのあまりに執拗な酷いやり方を罰しPunishing
too relentless and terrible ways、彼女の両手首Both wristsをオリュムポスOlympusの高嶺high peakに縛り、足legsには重りになるBecome a weightように、鉄床(かなとこ)Anvilをくくりつけ、宙吊りにしたSuspended in the air。
コス島the island of Cosでは、島の住人Island dwellersメロペ人たちが、海賊船pirate shipの来襲attackだと間違えて攻撃してきたmistakenly attackedが、エウリュピュロスEurypylus王KingはヘラクレスHeraclesに殺された。
ギガントマキアGigantomachy
ヘラクレスHeraclesが神々Godsに味方して、プレグライの野で繰り広げられるギガントマキアGigantomachy(巨人との戦い)に参戦したのは、この時である。
この戦いで敵を倒す死の矢を射るのは神々Godsではなく人間でなければならない、ということを知るアテナ女神the goddess Athenaが、ヘラクレスHeraclesの力と彼が持つヒュドラHydraの必殺deadlyの毒矢Poison arrowを頼みに、英雄heroをコス島the island of Cosからプレグライの野へ運んだのである。
ペロポネソス半島 Peloponnesus
アウゲイアス Augeas
次は、先にヘラクレスHeraclesが糞dungの山積みした家畜小屋Stablesを掃除clean
upしたとき、その報酬Rewardを支払わなかったエリスElisの王King・アウゲイアスAugeasである。
モリオニダイMolionidae(モリオネMolioneとアクトルActorとの2人の息子son)
モリオニダイMolionidae(モリオネMolioneとアクトルActorとの2人の息子son)が優れた将としてアウゲイアスAugeas軍を率いていたため、1回目の遠征First expeditionはヘラクレスHeracles軍が敗走Routした。
エウリュステウスEurystheusにアルゴリスArgolisを追われたヘラクレスHeraclesは居をアルカディアArcadiaのペネオスに移し、そこでモリオニダイMolionidaeを待ち伏せしたAmbushed。
そして、イストミア祭Isthmian Gamesに参加する代表として彼らがその地を通るとき、不意打ちを食わせてby surprise殺したkilled。
ピュレウス Phyleus
そのあとエリスElisを攻略し、アウゲイアスAugeasを殺し、かつて自分に有利な証言をしてくれたピュレウスPhyleusを新王New Kingとした。
ヘラクレスHeraclesがエリスElisのオリュムピアOlympiaでゼウスZeus大神に犠牲を捧げ、オリュムピア競技祭the Olympic Gamesを始めたのは、この時である。
イピトス Iphitus
次にピュロスPylosへ進軍した。
かつてイピトスIphitus殺しの罪の汚れSin stainを浄めることを拒んだネレウスNeleus王Kingに対する復讐revengeのためである。
ネレウス Neleus
一説では、ネレウスNeleusとその息子sonたちはヘラクレスHeraclesによってイピトスIphitusが殺された時に同じように殺されており、オムパレOmphaleに奴隷奉公Slave serviceすることになった狂気の発作Crazy seizuresは、その忌まわしい行為に起因するものという。
いずれにしろ、ネレウスNeleusの息子sonのうち、幼少のためゲレニア人の所で育てられていて、ピュロスPylosを留守にしていたネストルNestorのみが殺害を免れ、生き残った。
ペリクリュメノス Periclymenus ネレウス Neleusの息子
テレマコス Telemachusと ネストル Nestor
次はヒッポコオンHippocoonが治めるスパルタSparta攻略captureである。
ヒッポコオンHippocoonが兄elder brotherのテュンダレオスTyndareusを追放Expulsionし王位throneを奪ってseizeいたこと、そして、ヘラクレスHeraclesを敵enemyとしてネレウスNeleusに味方したこと、さらに、ヘラクレスHeraclesの従兄弟CousinのオイオノスOeonusが犬dogに石stoneを投げたという口実で、ヒッポコオンの息子sonたちに惨殺cruelly murderされたこと、などが攻略captureの理由である。
テュンダレオス Tyndareus
ヘラクレスHeraclesはテゲアTegea(アルカディア)の王King・ケペウスCepheusとその息子sonたちの援軍Reinforcementを得て、スパルタSpartaへ進軍Marchした。
ヘラクレスHeraclesは敵enemyを倒し、スパルタSpartaの王位throneをテュンダレオスTyndareusのために奪還Regainedしたが、異父兄弟half brotherのイピクレスIphicles、ケペウスCepheus王King、そしてケペウスCepheus王Kingの息子sonたちのほとんどが戦死died in battleした。
テレポス Telephus (右端) アキレウス Achilles
ケペウスCepheusの娘daughter・ステロペSteropeは、アテナ女神the goddess Athenaが父fatherに与えたゴルゴンGorgonの髪の毛hairを手に持って敵を敗走させ、テゲアTegeaの国を守った。
ヘラクレスHeraclesはケペウスCepheusの姉妹sister・アウゲAugeと交わり、アウゲAugeはヘラクレスHeraclesの息子son・テレポスTelephusを産んだ。
カリュドン Calydon in Aetolia
メレアグロス Meleager
オイネウス Oeneusと デイアネイラ Deianira
そのあと、ヘラクレスHeraclesはメレアグロスMeleagerの亡霊Ghostと約束したデイアネイラDeianiraとの結婚marriageを思い出し、オイネウスOeneusが治めるカリュドンCalydon in Aetoliaへ出かけた。
デイアネイラDeianiraにはアケロオス河神the river god Achelousがすでに求婚Proposalしていたため、2人でデイアネイラDeianiraを争うことになった。
アケロオス河神the river god Achelousが牛Cattleに変身Transformしたとき、ヘラクレスHeraclesはその角Hornを折って負かし、デイアネイラDeianiraを妻wifeとした。
アケロオス河神 the
river god Achelous
彼はカリュドン人Calydoniansを助けてテスプロティア人の国を攻め落とし、国王King・ピュラスPhylasの娘daughter・アステュオケAstyocheと交わって、トレポレモスTlepolemusの父fatherとなった。
デイアネイラDeianiraは息子son・ヒュロスHyllusと娘daughter・マカリアMacariaを産んだ。
エウノモス Eunomus
しかし、ヘラクレスHeracles夫婦husband and wifeはカリュドンCalydon in Aetoliaを去らねばならなくなった。
食卓tableで給仕serverをしていた少年boy・エウノモスEunomusが過ってヘラクレスHeraclesの膝に酒をこぼしたSpilled alcohol on his kneesことを怒り、ヘラクレスHeraclesが少年boyを殺したのである。
オイネウスOeneusは彼を許したForgiveが、当時の習慣に従いAccording to the customs of the time、彼はその地を追放されたExiled the land。
デイアネイラDeianiraを連れたヘラクレスHeraclesはトラキスTrachisへ向かった。
エウエノス川 the river Evenus
デイアネイラ Deianira
エウエノス川the river Evenusでは水かさの増した急流を、ケンタウロス族centaursのネッソスNessusがデイアネイラDeianiraを背に負い渡ってくれた。
しかし、先に岸に着いたネッソスNessusがデイアネイラDeianiraを犯そうとしたattempted to have intercourseので、ヘラクレスHeraclesはヒュドラHydraの胆汁bileに浸した必殺deadlyの毒矢Poison arrowを放ち、ネッソスNessusを射殺した。
ネッソスNessusは死に際に、ヘラクレスHeraclesの愛が醒めたときの媚薬として自分が流した血bloodを取っておくよう、デイアネイラDeianiraに言い残した。
言われるままを信じたデイアネイラDeianiraは、こっそりそれを瓶にしまった。
ネッソス Nessus
トラキスTrachisに着いたヘラクレスHeraclesは、ケユクスCeyx王Kingを味方につけて、ドリュオプス人the people Dryopes、ラピテス人the Lapithsと交戦し、負かした。
ドリュオプス人the people Dryopesとラピテス人the Lapithsの領土の一部はドリス人the Doriansの王King・アイギミオスAegimiusに与えた。
アイギミオスAegimiusが返礼として、自分の王国Kingdomに英雄heroの館と領地を提供すると申し出ると、ヘラクレスHeraclesはそれを自分の子孫descendantsのために受け取った。
やがてこの神話から、ドリス人the Doriansの先祖ancestorはヘラクレスHeraclesであると信じられるようになった。
次にヘラクレスHeraclesは、テッサリアThessalyへ向かった。
アレス Ares
イトノスを通るとき、アレスAresの息子son・キュクノスCycnusから挑戦を受けた。
キュクノスCycnusは父fatherの神殿Templeを建設するために、犠牲Sacrificeとして殺した人間の骨を煉瓦代わりに使ったり、デルポイの神託the Delphic oracleを仰ぎに向かう巡礼者Pilgrimたちを途中で待ち伏せして殺し、供物を取り上げたりしていた。
息子sonたちに加勢するアレスAres神が介入したが、ヘラクレスHeraclesはキュクノスCycnusを討ち、このときも、ゼウスZeusが雷Thunderを落とし、組み合う2人を引き分けた。
一説によれば、この事件はヘラクレスHeraclesがヘスペリデスの黄金のリンゴthe golden Apples of the Hesperidesを捜しているときのことで、舞台になった地はマケドニアMacedoniaだという。
エウリュトス Eurytus
ヘラクレスHeraclesの最後の戦争Last warは、エウリュトスEurytusへの復讐戦Revenge battleだった。
弓術大会the archery contestの褒賞rewardとして娘daughter・イオレIoleを与える約束Promiseをしておきながら、エウリュトスEurytusはその約束Promiseを果たさなかったのである。
デイアネイラDeianiraをトラキスTrachisに残し、同盟軍allied forcesを擁したヘラクレスHeraclesはオイカリアOechalia(おそらくテッサリアThessalyと思われるが、あるいは、エウボイアEuboeaの地かもしれない)へ進軍Marchした。
激しい戦闘Fierce battleが繰り広げられ、ケユクスCeyx王Kingの息子sonたち2人も死んだが、結局はヘラクレスHeraclesの勝利victoryに終わり、エウリュトスEurytusと彼の息子sonはすべて戦死die in battleした。
イオレ Iole
イオレIoleは逃れようとして城壁から身を投げたthrew herself from the castle wallが、長衣が風をはらんだため、無傷のまま地上に落ちた。
ヘラクレスHeraclesはイオレIoleを妾concubineとし、他の捕虜prisonerたちと一緒にトラキスTrachisへ送った。
ヘラクレスの死 Death
of Hercules
そしてデイアネイラDeianiraには、ボイオティアBoeotiaのケナイオン岬でゼウスZeus神に感謝の犠牲Sacrificeを捧げるため、新しい衣類を用意するよう命じた。
リカスLichasが使者messengerにたち、それを取りに出かけた。
夫husbandの愛がイオレIoleに移ったのではないかと案ずる妻wifeは、しまってあったネッソスNessusの血bloodを新しい服に塗ってリカスLichasに託した。
服を着換えたヘラクレスHeraclesは、ゼウスZeusに犠牲Sacrificeを供する儀式を始めたが、その間にも、ヒュドラHydraの矢arrowを受けて流したネッソスNessusの血bloodの熱い毒Poisonが、しだいにヘラクレスの逞しい肉体を侵し始めた。
悶え苦しみながらヘラクレスHeraclesは、使者messengerのリカスLichasを捕え海中に投げ捨てた。
リカス Lichas
衣服をかきむしり脱ぎ捨てようとしても、肌に吸いついて剥がれない。
悶え苦しみながらトラキスTrachisへ海路送られてきた夫husbandを見て、デイアネイラDeianiraは初めてネッソスNessusに騙されたことを知り、絶望して自害した。
ヘラクレスHeraclesもやっと事の次第を知った。
思えば、ヘラクレスHeraclesは生きた人間によってではなく、すでに死んだ者によって殺される、という予言があったのだ。
デルポイの神託the Delphic oracleは、テッサリアThessalyのオイテ山Mount Oetaに火葬壇Cremation platformを築き、そこに登ってあとはすべてをゼウスZeus大神に委ねよと命じる。
ヒュロス Hyllus
息子son・ヒュロスHyllusに手伝わせて、ヘラクレスHeraclesは神託oracleに従った。
息子sonが火葬壇Cremation platformを築き、ヘラクレスHeraclesはそこに横たわった。
しかし、恐れて誰一人それに火をつける者がない。
ピロクテテス Philoctetes ポイアスPoeasとデモナッサとの息子son
偶然そこを羊sheepを連れて通りかかったテッサリアThessalyのメトネの領主・ポイアスPoeasがヘラクレスHeraclesの必殺deadlyの弓矢Bow and arrowを礼に与えると約束されて、火を点ずる役を引き受けた。
昇天ascension to heavenするヘラクレスHeracles
燃え上がる炎が、ヘラクレスHeraclesの人間に属する生身の部分を焼くと、激しい轟音とともに稲妻が光り、ヘラクレスHeraclesの姿は跡形もなく消えた。
ヘラクレスHeraclesは昇天ascension to heavenし、神々Godsの仲間入りをしたのである。
ヘベ Hebe
天上では、ヘラHeraとの和解も成立し、ヘラHeraから娘daughterのヘベHebeを与えられて結婚marriageした。
ゼウスZeusはヘラクレスHeraclesの名を星座constellation(ヘルクレス座Hercules)のなかに加えた。
ヘルクレス座Hercules
神々の仲間入りをしてからも、ヘラクレスHeraclesはしばしば地上に降り、友人を助けた。
かつての宿敵・エウリュステウスEurystheusがアッティカAtticaを攻略したときのことである。
イオラオス Iolaus
いまや高齢aged personになった甥nephewのイオラオスIolausがヘラクレスHeraclesの子供childrenたちを庇護するためには、彼には再び若さyouthが与えられねばならない。
青春の女神Goddess of youthである妻wife・ヘベHebeを説得したヘラクレスHeraclesは、ヘベHebeと一緒に2つの光る星に姿を変え、イオラオスIolausの戦車Chariotの轅(ながえ)shaftを照らして彼を守った。
ピロクテテス Philoctetes ポイアスPoeasとデモナッサとの息子son
また、怪我がもとでトロイアTroy遠征の途中レムノス島the island of Lemnosに置き去りにされたピロクテテスPhiloctetesのもとに姿を現し、怪我の完治を約束するとともに、彼の父father・ポイアスPoeasに与えた弓矢Bow and arrowを持ってトロイアTroyに渡り、ギリシア軍Greek armyに味方するように命じた。
カクス Cacus
のちにローマRomeが建国される地を訪れたヘラクレスHeracles、3つの頭を持ち口から火を噴くfire-breathing怪物Monster・カクスCacusを退治killingし、エウアンドロスEvanderの娘daughter・ラウィニアLaviniaと結婚marriageした。
2人の間には、パラスPallasとラティヌスLatinusという2人の息子sonが生まれた。
エウアンドロスEvanderと一緒にアルカディアArcadiaから来住した者たちに文字を教え、彼らのうちのある者たちをパラティヌス丘Palatine
Hillに定住させたのもヘラクレスHeraclesと言われる。