パリのレストラン Parisian Restaurant 2014年(平成26年)
パリのレストラン Parisian Restaurant 2014年(平成26年)
ギリシア神話関連地図Greek mythology related map
コロニス Coronis (crow) (raven)
ラピテス族の王King of the Lapiths・プレギュアスPhlegyasの娘daughter。
医術の神・アスクレピオスAsclepiusの母mother。
アポロンApolloに愛されてアスクレピオスAsclepiusを身ごもったが、そのままアポロンApolloに背いてアルカディア人ArcadianエラトスElatusの息子son・イスキュスIschysと結婚marriageした。
そのことを烏crowから聞いたアポロンApolloは、激怒のあまり、それまで白whiteかった烏crowの色を黒blackに変えてしまった。
それから彼はアルテミスArtemisにコロニスCoronisを殺すように頼んだが、火葬に付されている彼女の胎内から我が子を取り出した。
(あるいはヘルメスHermesが彼に代わってそれをした。)
アスクレピオスAsclepiusはケイロンChironによって育てられた。
鳥(カラス) crow
crowはカラスの総称で、大型のものはraven、中型をcrow、
小型をjackdaw、rookと一般に呼んでいる
日本で「カラス」といえば普通carrion crow(ハシボソガラス)をさす
カラスは一般に不吉な予兆の鳥とされている
ワタリガラスraven
crowよりも大きいカラス
死や悪病を予知する不吉な鳥とされる
光沢のある黒い羽毛は髪など黒いもののたとえに使われる
コクマルガラスjackdaw
鳴き声がやかましいのと盗癖で知られる
ミヤマガラスrook
群居して巣を作る
アスクレピオスAsclepius
アポロンApolloとコロニスCoronisとの息子sonで医術の神god of medicine。
アルテミスArtemisに射殺された母親mother・コロニスCoronisの胎内からヘルメスHermesあるいはアポロンApolloによって救い出され、そのあとケンタウロス族the centaursのケイロンChironに預けられて医術the art of medicineを学んだ。
誕生については他に幾つかの異なる説がある。
アスクレピオス崇拝the cult of Asclepiusの中心地であり主要な神殿のあるエピダウロスEpidaurusでは、コロニスCoronisが父親father・プレギュアスPhlegyasとその地を訪れていたときにアスクレピオスAsclepiusが生まれた、と伝えられている。
この説によれば、そのあと赤子はミュルティオン山に棄てられたが、山羊goatの乳を飲んでいるところを牧人herdsmanに発見されて拾われた。
牧人herdsmanは赤子に後光haloがさすのを見て畏れたという。
メッセネMesseniaでは、アスクレピオスAsclepiusの母motherはレウキッペLeucippeの娘daughter・アルシノエArsinoeと伝えられている。
アスクレピオスAsclepiusはエピオネEpioneと結婚し、2人の息子son・マカオンMachaonとポダレイリオスPodaliriusが生まれた。
2人はともにトロイア戦争Trojan Warに参加し、傷ついた兵士の看護にあたった。
アスクレピオスAsclepiusは神でありながら不死ではなく、死者を蘇生させる医術を行ったためゼウスZeusに罰せられ、雷に撃たれてwith a thunderbolt死んだと信じられた。
息子sonを殺されて激怒した父father・アポロンApolloは、息子sonを殺した雷thunderboltを造ったキュクロペスCyclopesを殺して復讐した。
その結果アポロンApolloは罪を浄めるため、アドメトスAdmetus王の城で1年間の労働をゼウスZeusから命じられた。
蛇snakesがアスクレピオスAsclepiusの聖なる動物sacred
animalであり、アスクレピオスAsclepiusの化身incarnationであると考えられた。
紀元前293年に、アスクレピオス崇拝the cult of AsclepiusがエピダウロスEpidaurusの地からローマRomeに伝わったとき、アスクレピオスAsclepiusは蛇snakeの姿で渡来した。
すなわち、アスクレピオスAsclepiusなる蛇snakeはギリシアGreeceから海を渡ってイタリアItalyに上陸し、ローマRomeを聖地sacred placeに選んだのである。
死後は天に昇って、蛇遣座the constellation Ophiuchusとなった。
アスクレピオスの杖Rod of Asclepius
アスクレピオスAsclepiusの持っていた蛇・クスシヘビAesculapian snakeの巻きついた杖Walking stick
医療・医術の象徴として世界的に広く用いられているシンボルマークsymbol mark
蛇(ヘビ) snake
serpent
エデンの園EdenでEveを誘惑して禁断の木の実を食べさせたのがserpent
陰険で悪意を秘めたというイメージがある
カリストCallisto
アルカディアArcadia王・リュカオンLycaonの娘daughterもしくはニンフnymph。
カリストCallistoの名はカリステから派生したもので、「最も美しい」の意。
彼女は貞潔を守る誓いを立ててアルテミスArtemisに従った。
しかし、ゼウスZeusが彼女を見て恋をし、アポロンApolloないしはアルテミスArtemisに変身して彼女を誘い、抱いた。
それから、ゼウスZeusかヘラHeraかアルテミスArtemisか、そのいずれかがカリストCallistoを熊bearに変えた。
もしゼウスZeusであるとするなら、彼は妻wifeの怒りからカリストCallistoを守るためにそうしたのであり、もしヘラHeraであるとするなら、それはゼウスの妻wifeとしてのヘラHeraの立場を侵害したことに対する罰であり、もしアルテミスArtemisであるとするなら、彼女に対する誓いを破ったことに対する罰であった。
熊bearへの変身がゼウスZeusによるものだとする説では、ヘラHeraが復讐として熊bearを矢で射殺してほしいとアルテミスArtemisに頼んだので、ゼウスはヘルメスHermesを派遣してカリストCallistoの胎内から赤ん坊のアルカスArcasを救出させたという。
さらに別の説では、カリストCallistoは普通に息子sonのアルカスArcasを産み、息子sonが大きくなってアルカディアArcadiaの山中を狩りしていたときに彼によって射殺されたという。
しかしまた別の説は、熊bearの姿をしたカリストCallistoは羊飼いshepherdに捕らえられ、贈物として彼女の父father・リュカオンLycaonに贈られたが、ある日たまたまゼウス・リュカイオス神殿の禁じられた境内に踏み入ったところを、不敬の罪で息子son・アルカスArcasに射殺された、と伝えている。
しかしオウィディウスOvidによれば、ゼウスZeusがアルカスArcasの手を押しとどめ、母motherと息子sonの2人を大熊座(おおぐまざ)Ursa Majorとアルクトゥロス(小熊座(こぐまざ)Ursa Minor)の星座constellationに変えたという。
ヘラHeraはカリストCallistoにこの名誉honorが与えられたことを怒り、オケアノスOceanusに、大熊座(おおぐまざ)Ursa Majorが海の彼方に没することのないように取り計らってくれるよう、頼んだ。
そのためカリストCallistoは瞬時も休むことができず、永遠に北極星North Starの回りを回り続けている。
アルカスArcas
ゼウスZeusとカリストCallistoとの息子son。
カリストCallistoが妊娠したとき、ゼウスZeusはヘラHeraの嫉妬を恐れて、あるいは、カリストCallistoがアルテミスArtemisに仕える巫女Priestessでありながら純潔を守らなかったことに対するアルテミスArtemisの復讐を恐れて、カリストCallistoを熊bearに変えた。
カリストCallistoの死体から取り出されたか、あるいはカリストCallistoが熊bearに変身するときに生まれたか、のいずれかであるが、カリストCallistoの産んだ子・アルカスArcasはヘルメスHermesに救われ、キュレネ山に住むヘルメスHermesの母mother・マイアMaiaに預けられた。
別の説では、カリストCallistoの父fatherでアルカディアArcadiaの王King・リュカオンLycaonがアルカスArcasを育てたが、のちにアルカスArcasを切り刻みシチューに煮込んでゼウスZeusに捧げた。
ゼウスZeusはアルカスArcasを蘇生させ、リュカオンLycaonを狼the first werewolfに変えたという。
アルカディアArcadiaはアルカディアArcadiaの王位throneを継いだアルカスArcasが語源Etymologyとなって作られた名である。
アルカスArcasはアルカディアArcadiaの民に織物、穀物の栽培法とパンの作り方など、トリプトレモスTriptolemusから学んだ技術を教えた。
ある日彼はゼウス・リュカイオスの神域に入ってゆく1頭の熊bearを見つけ、あるいは狩りの途中でそれを見つけ、射殺した。
それは母mother・カリストCallistoの変身transformした熊bearだった。
憐れんだゼウスZeusはカリストCallistoとアルカスArcasを天に迎え、大熊座(おおぐまざ)Ursa Majorと小熊座(こぐまざ)Ursa Minorの親子星に変えた。
アルカスArcasは木の精dryad・ハマドリュアスHamadryasのエラトEratoと結婚し、アルカスArcasが昇天したあと、アルカディアArcadia王国Kingdomは息子sonたちが分け合った。
熊(クマ) Bear bear
アラクネArachne
アラクネArachneとアテナAthena
アラクネArachne
リュディアLydia生まれの女。
コロポンColophonの染め物の名人famous dyer・イドモンIdmonの娘daughter。
機織りweavingがうまく、織物weavingの守護神goddess・アテナAthenaにも負けないと自慢boastしていた。
アテナAthenaは貧しい身なりの老婆old ladyに身をやつしてdisguise地上に降り、娘girlの慢心boastingを戒めたwarn。
しかしアラクネArachneがその忠告warnを無視したため、アテナAthenaは女神goddessの姿にたちかえり、アラクネの挑戦Arachneを受けて織物weavingの腕を競うことにした。
アテナAthenaは傲慢な人間どもの運命を図柄に織った。
アラクネArachneは神々の恋愛ざたを織りこんだ。
実際、アラクネArachneの腕前はアテナAthenaに勝るとも劣らぬ素晴らしさだった。
怒ったアテナAthenaはアラクネArachneの織った布を引き裂き、織物の梭(ひ)でアラクネを打った。
アラクネArachneは首を吊って死のうとしたhangs herselfが、アテナAthenaはアラクネArachneの名が意味する蜘蛛(くも)spiderにアラクネArachneの姿を変えた。
蜘蛛(くも)spiderがアラクネArachneと同じように機織りweavingの名人なのはこのためである。
パレス・シネマ Palace Cinema 豪華な映画館 2013年(平成25年)
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エコEcho
ヘリコン山Mount Heliconのニンフnymph。
「こだま」の意。
あるとき、ヘラHeraはゼウスZeusの恋の現場を覗いて見たいと思ったが、エコEchoがその度にしきりに話しかけてくるので、ゼウスZeusに味方してわざとそうしているのだと思い込み、激怒した。
そのため、ヘラHeraはエコEchoが他から話しかけられた場合のほかは物が言えないようにし、その場合でも、他人の言葉の最後の一部分を繰り返すことしかできないようにした。
のちにエコEchoはナルキッソスNarcissusに恋をしたが、彼女は彼の言葉をただ繰り返すことしかできないために、ナルキッソスNarcissusと意思の疎通ができず相手にされなかった。
彼女は嘆き悲しみつつ、身は消え失せて、影になってしまい、ただ声だけが残った。
他の物語では、パンPanが彼女を愛したが、彼女に無視されたので、彼女を物が言えないようにして、ただ他人の言葉を反復する能力のみを残したという。
羊飼いshepherdsたちは彼女のこの癖に憤って、彼女を八つ裂きにした。
ガイアGaea(the Earth)(大地)がその死体を隠したが、言葉を繰り返す力だけは残ったという。
ナルキッソスNarcissus
ボイオティアBoeotiaのケピソス河神the river god CephissusとニンフnymphのレイリオペLiriope(「百合の声」)の息子son。
彼がまだ赤子babyのとき、母親motherが預言者the seer・テイレシアスTiresiasに息子sonが長生きするかどうかを尋ねた。
預言者the seerは「自分自身を知らなければ長生きしようif he does not know himself」と答えたが、そのときは謎に満ちたこの答えの意味を誰も理解しなかった。
美青年Beautiful youthに成長したナルキッソスNarcissusに、多くの男や女が求愛したが、彼はすべてを斥けていた。
やがてニンフnymphのエコEchoがナルキッソスNarcissusに恋をした。
しかしエコEchoは、ゼウスZeusが他の妖精fairyたちを愛したとき、ゼウスZeusにヘラHeraがやって来るとひっきりなしに警告を発していたので、ヘラから罰を受け、耳にした言葉の最後の音節だけを繰り返す以外には、話す能力を奪われてしまっていた。
そのためナルキッソスNarcissusはエコEchoを無視した。
するとエコEchoは単なる1つの声になるまでやせ細ってしまった。
しかし若者ナルキッソスNarcissusはやがて自分の残酷さのしっぺ返しを受けた。
彼を愛しながら拒まれたエコEchoがネメシスNemesisに祈ると、ネメシスNemesisはこれを聞き入れ、ナルキッソスNarcissusがヘリコン山Mount Heliconの泉poolに映った自分自身の姿を見つめるように運命づけた。
ナルキッソスNarcissusは眺めれば眺めるほど自分自身の姿に恋した。
この空しい情熱は彼を捕らえて離さず、来る日も来る日も彼は泉poolの傍らに横になって、ついに憔悴して死んでしまった。
神々は彼を水仙narcissusの花に変えた。
水仙(すいせん)narcissus
ナルシ(シ)ズムnarcissism 自己陶酔(症)、自己愛
ナルシストnarcissist 自己陶酔者
水仙(すいせん)narcissus
ヒュアキントスHyacinth
スパルタ王King of Sparta・アミュクラスAmyclasとディオメデDiomedeとの、あるいは、ピエロスPierusとムーサイMusesの1人・クレイオClioとの息子son。
目の醒めるような美少年Beautiful boyで、最初の同性愛者・タミュリスThamyrisに愛され、のちにアポロンApolloに愛された。
ヒュアキントスHyacinthとアポロンApolloは2人してスポーツを楽しんだが、あるとき、アポロンApolloは過って円盤diskをヒュアキントスHyacinthの額foreheadにぶつけてしまった。
深傷を負ったヒュアキントスHyacinthはその場で息絶えた。
2人の仲の良さを妬んだ西風のゼピュロスZephyrがアポロンApolloの投げた円盤diskの方向をそらせたためとする説もある。
なす術もないアポロンApolloはヒュアキントスHyacinthの思い出に、大地を濡らすヒュアキントスHyacinthの赤い血からヒアシンスhyacinthの花を咲かせた。
花弁にはAI, AI(「ああ悲しや」の意)の文字が刻まれていたという。
この花は今日のヒアシンスhyacinthではなく、アイリスirisの一種と考えられる。
ヒュアキントスHyacinthと同じように、ある勇敢な英雄の死が同じような美しい花となって讃えられるであろうとアポロンApolloが言った通り、テラモンTelamonの息子sonでトロイア戦争Trojan Warの勇士・アイアスAjaxは、アイリスirisの花となって、その死が記念された。
ヒュアキントスHyacinthがアポロンApollo信仰の盛んなスパルタSparta地方でヒュアキンティア祭事となって祝われるのも、アポロンApolloの予言通りである。
ヒアシンスhyacinth
キュパリッソスCyparissus
テレポスTelephusの息子son。
キオス島the island of Chios出身の美少年Beautiful boyで、アポロンApolloに深く愛された。
カルタイアのニンフたちnymphsに飼いならされたtamed聖なる牡鹿stagに強い愛着を持ち、いつもその牡鹿stagを草地まで連れて行って草を食べさせていた。
ある日、牡鹿stagが日射しを避けて木陰で休んでいるとき、キュパリッソスCyparissusは狩猟の槍hunting javelinを投げて過って牡鹿stagを殺してしまった。
少年boyは悲しみのあまり、アポロンApolloの説得にも耳を貸さず、死を願った。
死が許されないのなら永遠に嘆き悲しむことを許されたいと望んだ。
いつまでも悲しみの涙を流し続けたために、彼の体は干上がり、枯れてしまった。
アポロンApolloは彼を糸杉cypress(キュパリッソスCyparissus)に変え、その木は嘆きの象徴symbol of mourningとなった。
別の言い伝えによれば、彼はクレタ島Creteの若者youthで、アポロンApolloの求愛から逃れているときに糸杉cypressに変えられたという。
糸杉(いとすぎ)cypress
ダプネDaphne
ニンフnymphで、テッサリアThessalyのペネイオス河神the river god Peneusの娘daughter(もしくは、アルカディアArcadiaの伝説では、ラドン河神the river-god Ladonの娘daughter)。
アルテミスArtemis女神goddessのように、狩りをして日々を過ごす少女girlであった。
彼女に関しては2つの物語が伝えられている。
初めのものは、以下のようになっている。
エリスElisのピサPisaのオイノマオスOenomaus王Kingの息子son・レウキッポスLeucippusはダプネDaphneに恋をしたが、彼女はつれない態度をとったので、少女girlに変装して彼女に近づいた。
彼はもともとアルペイオス河神the river god Alpheusに敬意を表して髪を長く伸ばしていたのである。
彼はオイノOenoと名乗り、ダプネDaphneの狩りのお供に加えてくれるよう頼んだ。
彼女はそれを聞き入れたが、嫉妬したアポロンApolloが彼女とその女友達を水浴したい気分にさせ、オイノOenoに扮しているレウキッポスLeucippusが水浴に加わることを拒むと、彼女たちが彼を裸にするようにしむけた。
彼が男性であることを知って、彼女たちは憤って彼を殺した。
ダプネDaphneに関する2番目の、そしてもっと有名な物語によれば、アポロンApollo自身が彼女を獲得し損なったという。
アポロンApolloがダプネDaphneに恋をしたのは、彼が愛の神・エロスErosを嘲笑したことがきっかけだった。
あるときアポロンApolloは強弓を使いこなす自分の腕前と比較しながらエロスErosの弱い弓や細い体を笑った。
そこでエロスErosはアポロンApolloを罰しようとしてパルナッソスParnassusの山頂から2本の矢arrowをはなった。
そのうち黄金goldの矢尻arrowheadを持つ1本がアポロンApolloの心臓を貫いて彼をダプネDaphneに夢中にさせ、鉛leadの矢尻arrowheadを持つ他の1本がダプネDaphneに当たって、彼女をどんな恋人に対しても無関心にさせた。
アポロンApolloは森の中で彼女を追い回し、彼女の父fatherの川であるペネイオス川the river Peneusの岸辺で彼女を掴まえそうになった。
彼女は父fatherなるペネイオス河神the river god Peneusに必死に救いを求めた。
するとたちまち体から根が生え、月桂樹laurelに姿が変わった。
以後月桂樹laurelは彼女の名(ダプネDaphne)で呼ばれるようになった。
アポロンApolloは彼女をあきらめざるを得なくなったが、音楽musicと弓bowの神godである彼は、それ以後、月桂樹laurelの環ringで自分のリラlyre(古代ギリシアの竪琴harp)と矢筒quiverを飾り、またその冠crownで吟遊詩人minstrelの額foreheadを飾ることにした。
月桂樹(げっけいじゅ)laurel
ミアの別荘 Mia’s Second House 2019年(令和元年)
ミアの別荘 Mia’s Second House 2019年(令和元年)
ミュラMyrrha
キニュラスCinyras
キュプロス島Cyprusの金持ちrichの王King。
トロイア戦争Trojan Warに出かけるアガメムノンAgamemnonに美しい胸当てを贈った。
キュプロス島CyprusのパポスPaphosの名のもとになったピュグマリオンPygmalionの娘daughter・パポスPaphosの息子sonとする説もある。
ケンクレイスCenchreis(あるいはメタルメMetharme)と結婚し、娘daughter・ミュラMyrrhaを得た。
ミュラMyrrhaは長ずるに及んで父father・キニュラスCinyrasに激しい恋心を抱くようになった。
これは、ミュラMyrrhaがアプロディテAphrodite女神Goddessの祭礼festivalを怠ったために、あるいは彼女の父father・キニュラスCinyrasが娘daughterはアプロディテAphroditeよりも美しいと自慢したために、この女神Goddessから与えられた罰であった。
ミュラMyrrhaが父father・キニュラスCinyrasに対する愛情を年老いた乳母nannyに打ち明けると、乳母nannyは、妻が夫のベッドに近寄ってはいけないことになっているキュプロス島Cyprusの祭りの期間中に、娘daughterであることを隠し、ただキニュラスCinyrasを愛している少女とのみ言って、暗い中でキニュラスCinyrasとミュラMyrrhaの父娘を引き合わせた。
幾晩か関係を持ったのち、キニュラスCinyrasは部屋にランプを持ってきて少女の顔を見た。
少女の正体を知って、彼は彼女を殺そうとした。
しかし彼女は逃げて、最後に南アラビアArabiaのシバ人の国に来たところで、神々は彼女をミルラ(没薬)の木myrrh treeに変じた。
彼女は妊娠していて、出産の女神Goddess of
childbirth・エイレイテュイアEileithyiaがその木の幹Tree trunkから赤ん坊babyのアドニスAdonisを生まれさせた。
あるいは、猪boarが木treeにぶつかり、その牙が作った割れ目から赤ん坊babyが生まれたとも言う。
キニュラスCinyrasの系譜についての他の説によれば、彼はティトノスTithonusとエオスEosの子孫であるシリアSyriaのサンドコスSandocesの息子sonであるという。
彼はまたキュプロス島Cyprusへ移住したキリキア人the Ciliciansと言われることもある。
アガメムノンAgamemnonがトロイア戦争Trojan WarにおいてキニュラスCinyrasの協力を得るためにメネラオスMenelaus、オデュッセウスOdysseus、タルテュビオスTaltybiusをパポス市the city of Paphosに遣わしたとき、彼は50隻の艦隊を約束しながら、実際にはそのうちの49隻までを、泥でできた乗組員を乗せた小さな泥船でごまかした。
彼の息子son・ミュグダリオンMygdalionが指揮する1隻は出帆したけれど、それに続いて進水した泥船は、当然のことながら、沈んだ。
キニュラスCinyrasの死に関しては2つの言い伝えがある。
ミュラMyrrhaとの近親相姦Incestのあとで自殺したとする説と、アポロンApolloに気に入られて高齢まで生き、キュプロス島Cyprusの女神Goddessであるアプロディテの神官priest of Aphroditeとして、アプロディテAphroditeに献身して余生を送ったとする説とである。
没薬樹(もつやくじゅ)Myrrh tree ミルラの木Myrrh tree
アドニスAdonis
もとアジア系の神godで、ギリシア神話Greek mythologyに組み入れられた。
名前の起こりは「主」を意味するセム語Adonである。
各地で、常にアプロディテAphrodite、またはこれに相当する女神Goddessと関連して祭られている。
アドニスAdonisはふつうミュラMyrrha(またはスミュルナSmyrna)と、その父fatherであるキュプロス島CyprusのパポスPaphosの王King・キニュラスCinyras、またはエジプトEgyptのベリュス、またはアッシリアAssyriaのテイアスTheiasとの近親相姦Incestにより生まれた息子sonと言われている。
ミュラMyrrhaがアプロディテAphroditeの祭礼festivalを怠ったため、アプロディテは彼女を父fatherへの激しい恋に陥らせた。
次にアプロディテAphroditeは、父father王Kingを騙して彼女の乳母nannyの手引きで彼女と一夜を過ごさせ、それで彼女はアドニスAdonisを身ごもった。
自分の所業を知った父fatherは彼女を殺そうとしたが、神々は彼女をミルラ(没薬)の木myrrh treeに変えた。
やがてこの木treeに野猪wild boarが衝突して、その裂け目からアドニスAdonisが転がり出た。
一説によれば、出産の女神Goddess of
childbirth・エイレイテュイアEileithyiaが、生まれる時が来た赤ん坊babyを木treeから取り出したとも言う。
子供の美しさに魅せられたアプロディテAphroditeは、子供babyを箱に入れてペルセポネPersephoneに養育を頼んだ。
ペルセポネPersephoneもその子の美しさに心を奪われてアプロディテAphroditeに返すことを拒んだので、ゼウスZeusが2人の女神Goddessの仲裁をした。
その判定には2つの説があって、第1の説によれば、アドニスAdonisは1年の3分の1ずつをそれぞれの女神Goddessとともに過ごし、残る3分の1を自分の好きなように過ごすことをゼウスZeusから命ぜられ、自由な3分の1をアプロディテAphroditeと過ごしたという。
第2の説はゼウスZeusが判定することを嫌がったため、ムーサイthe Musesの1人カリオペCalliopeが判定を下すことになり、1年の半分ずつをそれぞれの女神Goddessに割り当てたという。
これらの物語は、植物と自然の神としてのアドニスAdonisの役割の名残りである。
2番目の伝説によれば、アプロディテAphroditeはカリオペCalliopeに対する罰として、彼女の息子son・オルペウスOrpheusを死なせた。
アプロディテAphroditeと一緒にいたとき、アドニスAdonisは生まれたと時と同様に野猪wild boarに突かれて死んだ。
森の中で狩りをしている時に襲われたのである。
襲ったのは彼を妬んで変装して来たアレスAresだとか、アプロディテAphroditeの夫のヘパイストスHephaestusだとか言う人もある。
アプロディテAphroditeはいつもアドニスAdonisに、危険な野獣狩りはやめるようにと警告していた。
オウィディウスOvidによれば、アプロディテAphroditeはアドニスAdonisに、戒めのためアタランテAtalantaの話を聞かせていたという。
アプロディテAphroditeはアドニスAdonisの死を悲しむあまり、彼が死んだとき流した血の中から、血のように赤いアネモネanemoneの花を咲かせた。
別の説によれば、アプロディテAphroditeはペルセポネPersephoneに頼んで毎春4か月だけ彼を地上に生き返らせたともいう。
アネモネanemone
ピュグマリオンPygmalion
キュプロス島Cyprusの王King。
オウィディウスOvidによれば彼の理想とする女がまったく存在しなかったので、彼は理想とする女womanの象牙像Ivory statueを作った。
彼はその像statueに恋をした。
彼に同情したアプロディテAphroditeはその像statueに生命lifeを与えた。
(それに与えられたガラテイアGalateaという名には古典からの典拠がない。)
ピュグマリオンPygmalionは彼女と結婚し、彼女はパポスPaphosという娘daughterを産んだ。
パポスPaphosはキニュラスCinyrasの母motherないしは妻wifeであると言われる。
他の説によれば、2人の間の娘daughterはパポスPaphosではなくメタルメMetharmeで、キニュラスCinyrasの花嫁brideになったという。
ガラテイアGalatea
海神sea god・ネレウスNereusとドリスDorisの娘daughter。
名は「乳色milk-whiteの女」の意。
シシリア島Sicily沖合いの海に住んでいたが、シシリア島Sicilyには羊や山羊の群れを飼うキュクロペスCyclopesの一人ポリュペモスPolyphemusがいた。
ポリュペモスPolyphemusはガラテイアGalateaに熱く焦がれ、彼女を追い回した。
しかし、パンPan神とニンフnymphのシュマイティスSimaethisとの息子sonで羊飼いの青年youthアキスAcisを愛するガラテイアGalateaは、ポリュペモスPolyphemusの恐ろしい外見を嫌って、ポリュペモスPolyphemusの求愛をにべもなくはねつけた。
アキスAcisへの激しい嫉妬にかられたポリュペモスPolyphemusは、懸命に愛の調べを歌ってガラテイアGalateaの気を引こうとしたが、騒々しいその歌声は若い恋人たちに嘲笑されるばかりだった。
ある日、草原に眠る二人を見つけたポリュペモスPolyphemusはアキスAcisを追い、大きな岩を投げつけ、アキスAcisをその下敷きにして殺した。
悲嘆にくれるガラテイアGalateaは、岩の下から川の流れを起こし、アキスAcisをその川の神とした。
別の説では、アキスAcisは登場せず、ポリュペモスPolyphemusがもっぱら愛の歌と笛の音色で、めでたくガラテイアGalateaの心を得たという。
キュレネCyrene
狩りが巧みなニンフnymph。
ラピテス族Lapithsの王Kingでペネイオス河神the river god Peneusの息子sonでもあるヒュプセウスHypseusと、水の精・クレウサCreusaとの間の娘daughter(ペネイオスPeneusを父fatherとする説もある)。
ダプネDaphne、スティルベStilbeの姉妹sister。
アポロンApolloはペリオン山Mount Pelion中でキュレネCyreneがライオンlionと格闘wrestled withしているのを見て、その美しさと勇敢さとに魅せられ、彼女を自分の戦車に乗せてアフリカAfricaまで連れて行った。
キュレネ市the city of Cyreneは彼女の名にちなんで名づけられたものである。
彼女はアポロンApolloの2人の息子son、家畜と果樹の守護神・アリスタイオスAristaeusと予言者・イドモンIdmonを産んだ。
別の説によれば、リビュアLibyaの国が1頭の獰猛なライオンlionに荒らされたとき、リビュア王King・エウリュピュロスEurypylusは、国をライオンlionから救った者には国を与えると宣言した。
キュレネCyreneがこれを成し遂げ、彼女の名をつけた市が創建されたという。
キオネChione
エオスポロスEosphorusの息子son・ダイダリオンDaedalionの娘daughter。
非常に美しくvery beautiful(彼女の名は「雪のように白いsnow white」の意)、数え切れないほどの求婚者suitorsがあり、その中にはアポロンApollo、ヘルメスHermesのような神々the godsもいた。
アポロンApolloは日暮れnightfallまで待ってから老婆old womanを装って近づき、ヘルメスHermesは彼女を眠らせてその場で犯した。
彼女は双子twins、すなわちヘルメスHermesの息子son・アウトリュコスAutolycusとアポロンApolloの息子son・ピラムモンPhilammonとを産んだ。
ピラムモンPhilammonは父father・アポロンApolloの才能を受け継いで優れた音楽家になった。
しかしキオネChioneは自分の美しさと優れた息子sonたちを授かったことに慢心して、つい自分をアルテミス女神the goddess Artemisと比較し、自分の方が素晴らしいと言ってしまった。
そのためアルテミスArtemisの怒りを買い、矢arrowを射られて死んだ。
ダイダリオンDaedalionは娘daughterの死を悲しむあまりパルナッソス山Mount Parnassusの絶頂peakから身を投げ、アポロンApolloによって鷹hawkに変えられた。
鷹(たか)hawk
ボトルシップ Ship in a Bottle
ボトルシップ Ship in a Bottle
ケユクスCeyx
明けの明星Lucifer・エオスポロスEosphorusの息子sonで、アルキュオネAlcyoneの夫husband。
エウリュステウスEurystheusから逃げる途中のヘラクレスHeraclesを歓待し、ヘラクレスHeraclesはその礼にケユクスCeyxの王国からドリュオプス人Dryopsを追い払った。
ヘラクレスHeraclesの死後、ケユクスCeyxは彼の子供たちの後見役を委ねられた。
しかしエウリュステウスEurystheusを敵として戦うほど強くなかったので、子供たちをテセウスTheseusの保護のもとに置くべきだと考えた。
彼はまたポコスPhocus殺しでアイギナ島the island of Aeginaを追放されたペレウスPeleusも歓待した。
ケユクスCeyxに関して最もよく知られている神話は、彼の死と小鳥small birdへの変身transformationについての物語である。
短い方の話では、彼と妻wife・アルキュオネAlcyoneは幸福のあまりお互いをゼウスZeus、ヘラHeraと呼び合ったため、罰として小鳥small
birdに変えられたのだという。
オウィディウスOvidの『変身物語Metamorphoses』によれば、ケユクスCeyxは兄のダイダリオンDaedalionが鷹(たか)hawkに変えられたり、また殺人者のペレウスPeleusを歓待した罰として狼が彼の牛たちを殺して荒れ狂うなどの不吉な兆しが相次いだため、クラロスの神託にお伺いを立てることにした。
(デルポイDelphiにはプレギュアイ人に妨げられて行けなかった。)
アルキュオネAlcyoneは、悪い予感がしたので、それに反対した。
彼女は夫に、航海をあきらめるか自分を連れて行くか、どちらかにしてくれと懇願した。
しかし彼は妻wifeを連れずに、2か月以内に戻るからと言って出帆した。
大嵐が起こって、ケユクスCeyxは溺れた。
死ぬときに彼はアルキュオネAlcyoneのことを考え、彼女の名をつぶやいた。
一方彼女は夫husbandが帰って来ることを願ってヘラHera女神に絶えず犠牲を捧げていた。
ヘラHeraは、愛情深い妻wifeが、死んだ夫husbandの帰りを待ちわびている姿を見るに忍びず、イリスIrisを眠りの神・ヒュプノスHypnosのところへ遣わした。
ヒュプノスHypnosは早速息子sonのモルペウスMorpheus(「形を変える者」)をアルキュオネAlcyoneの夢の中にケユクスCeyxの姿で現れるようにさせた。
彼はずぶ濡れの姿で、頬には涙を滴らせながら、アルキュオネAlcyoneの寝床を覗き込んで、ケユクスCeyxが嵐の中で死んだことを告げた。
アルキュオネAlcyoneは絶望して海岸へ走り、夫husbandの名を呼んだ。
すると、波が夫husbandの死体を彼女の足元まで運んできた。
彼女はその瞬間、川蝉(カワセミ)(翡翠(カワセミ))kingfisherに変じ、夫husbandの死体の回りを飛び続けたが、やがて神々はそのような彼女を哀れんで、夫husbandを妻wifeと同じカワセミkingfisherにして蘇らせた。
そこで彼らは再びともに暮らすようになり、毎年「カワセミの日々」(冬至の頃の天候の穏やかな2週間)に、風の神・アイオロスAeolusが7日間彼らのために海を静めている間に、交尾した。
別の説によれば、ケユクスCeyxはカワセミkingfisherではなくカモメseagullになったと言う。
アルキュオネAlcyone
テッサリア王King of Thessaly・アイオロスAeolusの娘daughter。
トラキア王King of Thrace・ケユクスCeyxの妻wife。
幸せな2人は自分たちを神々になぞらえてゼウスZeusとヘラHeraと呼んだので、一説によれば、罰としてアルキュオネAlcyoneは川蝉(カワセミ)(翡翠(カワセミ))kingfisherに、ケユクスCeyxは鰹鳥(カツオドリ)boobyに姿を変えられた。
もっと普通の説によれば、ケユクスCeyxは神託oracleを求めてクラリュス(コロポン)に行く途中に海で溺れた。
妻wifeのアルキュオネAlcyoneは毎日夫husbandのために祈っていたが、やがて結婚の女神Goddess of marriage・ヘラHeraが夢の神god of dreams・モルペウスMorpheusを遣わして夫husbandの死を夢の中で彼女に告げさせた。
悲嘆にくれたアルキュオネAlcyoneは海岸seashoreに行くと、そこに夫・ケユクスCeyxの死体が打ち上げられていた。
神々は彼女の悲嘆を憐れんで2人を川蝉(カワセミ)(翡翠(カワセミ))kingfisherに変えた。
川蝉(カワセミ)(翡翠(カワセミ))kingfisherは冬ごとに巣を作るが、その巣作りのために風の神God of the wind・アイオロスAeolusはその間平穏な天候を与えた。
船乗りはアルキュオネAlcyoneに因んでそのような日を「アルキュオン」(英語でハルシオンhalcyon)と呼んでいる。
川蝉(カワセミ)(翡翠(カワセミ))kingfisher