郊外住宅 Family Villa 2017年(平成29年)
郊外住宅 Family Villa 2017年(平成29年)
プロメテウスPrometheus自身がボイオティアBoeotiaのパノペイアPanopeiaで見つけた泥土clayから人類humanityを作ったcreationという。
職人芸に秀でた彼は、人間の姿を造り出し、アテナAthenaがそれに生命を吹き込んだ。
ゼウスZeusは激怒し、ヘパイストスHephaestusとともに召使いのクラトスCratosとビアBiaを呼び寄せ、プロメテウスPrometheusを捕えて人間から遠く離れたオケアノスOceanusの流れの端にある山(おそらくカウカソスCaucasus山)の頂に彼を縛るように命じた。
ゼウスZeusはそこに毎日大鷲great eagleを遣わし、捕われたプロメテウスPrometheusの肝臓liverをついばませたが、肝臓liverは夜ごと元通りになった。
プロメテウスPrometheusはティタン神族Titansなので不死身immortalityだったからである。
ゼウスZeusの子・ヘラクレスHeraclesがやって来て大鷲great
eagleを射落とし、捕われていたプロメテウスPrometheusを鎖から解放した。
プロメテウスPrometheus
ティタン神族Titansの1人。
イアペトスIapetusとテミスThemis(あるいはオケアノスOceanusの娘・クリュメネClymene)との息子。
神々とティタン神族との戦いthe battles between the gods and the Titans(ティタノマキアTitanomachy)で、ゼウスZeusが敵をタルタロスTartarusに幽閉すると、プロメテウスPrometheusはその名の示す通り将来何が起こるか分かっていたので、ティタン神族Titansに知恵を働かすように忠告した。
彼らが忠告を無視したため、彼はゼウスZeusの味方をした。
しかし戦いののち、プロメテウスPrometheusは人間に関してゼウスZeusと意見を異にし、仲違いするようになった。
ヘシオドスHesiodの物語によれば、プロメテウスPrometheus自身がボイオティアBoeotiaのパノペイアPanopeiaで見つけた泥土clayから人類humanityを作ったcreationという。
職人芸に秀でた彼は、人間の姿を造り出し、アテナAthenaがそれに生命を吹き込んだ。
一説によると、プロメテウスPrometheusはゼウスZeusから是認を得るため個々の造型を彼に見せたが、「光輝く」という意味のパイノンPhaenonと呼ばれる特別美しい少年を見せることは避けた。
ゼウスZeusはそれに気づくと、少年を天に連れて行き、彼を今日木星Jupiterとして知られている天体に変えたという。
しかしそうして創られた人間には色々な欠点があったため、ゼウスZeusは彼らを滅ぼし(あるいはプロメテウスPrometheusがそう思ったのだが)、代わりに新たにもっと立派な生物を創ろうとした。
いずれにせよゼウスZeusは人間の滅亡を企て、人間の食物のうち最良のものを供え物として要求し、彼らを飢えさせようとした。
だがプロメテウスPrometheusは次のような策略を使って彼の企てをくじいた。
ノコネ(のちのシキュオンSicyon)で、食物のうちどこを神々の分として取って置くべきかを決めるために、神々と人間との間で会合を開くことになった。
プロメテウスPrometheusは調停者として、牛を引き出しそれを切り分けて肉を2つの包みに包んだ。
一方の包みは内臓を脂肪で包んだものだが、もう一方は美味な肉を皮で包んだものだった。
それから彼はゼウスZeusに包みを選ぶように言った。
ゼウスZeusはごまかされまいと思ったが、結局は罠にはまってしまい、艶やかな脂肪の包みを選んだ。
それ以後人間が神々に捧げる犠牲は常に脂肪と内臓ということになった。
ゼウスZeusは腹を立て、人間mankindから火fireを奪うことにした。
プロメテウスPrometheusはこの命令に背いてオリュムポスOlympusあるいはヘパイストスHephaestusの鍛冶場からひそかにウイキョウの茎fennel-stalkの中に火fireを隠し人間mankindのもとに運んだ。
(彼は金属細工のような他の多くの技術も人間に教えた。)
それと同時に人間が以前から持っていた未来を知る能力を彼らから奪ったが、それはその能力があるために人間がひどく悲しむことがないようにするためであった。
夜になってゼウスZeusは地上が無数の赤く燃える灯に覆われているのを見て激怒し、ヘパイストスHephaestusとともに召使いのクラトスCratosとビアBiaを呼び寄せ、プロメテウスPrometheusを捕えて人間から遠く離れたオケアノスOceanusの流れの端にある山(おそらくカウカソスCaucasus山)の頂に彼を縛るように命じた。
ゼウスZeusはそこに毎日大鷲great eagleを遣わし、捕われたプロメテウスPrometheusの肝臓liverをついばませたが、肝臓liverは夜ごと元通りになった。
プロメテウスPrometheusはティタン神族Titansなので不死身immortalityだったからである。
あるいは一説によると、ケイロンChironが死んだとき自分の不死身immortalityを彼に譲り渡したという。
さらにアイスキュロスAeschylusによると、ゼウスZeusは、プロメテウスPrometheusが自分のことを嘲り、ゼウスZeusの地位の安泰に関わる秘密を教えようとしないと聞くとすぐに、プロメテウスPrometheusが縛られている岩山に雷を投げつけた。
そのため彼は岩ごとタルタロスTartarusに落とされたという。
長い年月が過ぎ去ってからついに、ゼウスZeusはその重要な秘密、すなわちテティスThetis(ゼウスZeusもポセイドンPoseidonも長年彼女を追い続けていた)から生まれる息子は父よりも偉大になるだろうという秘密と引き換えに、プロメテウスPrometheusを解き放すことにした。
ゼウスZeusの子・ヘラクレスHeraclesがやって来て大鷲great
eagleを射落とし、捕われていたプロメテウスPrometheusを鎖から解放した。
この恩に報いてプロメテウスPrometheusは、ヘラクレスHeraclesがその時求めていたヘスペリデスの園the garden of the Hesperidesの黄金のりんごthe golden applesを一番うまく手に入れる方法を彼に教えた。
それはアトラスAtlasに黄金のりんごthe golden applesを取りにやらせ、彼がいないその間は自分が代わりに天空を担ってやろうと申し出たらよいと言うものであった。
ゼウスZeusがプロメテウスPrometheusから秘密を知らされていなかったら、ゼウスZeusはテティスThetisと結婚し、ちょうど彼自身が父・クロノスCronusを打ち負かしたように、彼も自分より強い息子に打ち負かされていたことだろう。
パンドラPandoraはヘパイストスHephaestusによって泥から形作られ、生命と衣服をアテナAthenaからもらい、人間がこの新しい厄介物を愛するようにアプロディテAphroditeから美を与えられ、ヘルメスHermesからは狡猾さと裏切りを教えられた。
ヘルメスHermesがパンドラPandoraをプロメテウスPrometheusの愚かな兄弟・エピメテウスEpimetheusに与えると、エピメテウスEpimetheusは彼女を花嫁として受け入れた。
パンドラの箱Pandora's box
パンドラPandoraが生まれながらの好奇心から小箱を開けると、ありとあらゆる悲しみ、病い、喧嘩、苦悩が飛び出した。
パンドラPandora
人間に対する災いとしてゼウスZeusが創った人類最初の女。
これは人間の友として行動したプロメテウスPrometheusの信用を傷つけるためで、彼女によりゼウスZeusは望んだ復讐を遂げることができた。
パンドラPandoraの名は「すべての贈り物」を意味する。
彼女はヘパイストスHephaestusによって泥から形作られ、生命と衣服をアテナAthenaからもらい、人間がこの新しい厄介物を愛するようにアプロディテAphroditeから美を与えられ、ヘルメスHermesからは狡猾さと裏切りを教えられた。
ヘルメスHermesがパンドラPandoraをプロメテウスPrometheusの愚かな兄弟・エピメテウスEpimetheusに与えると、エピメテウスEpimetheusは彼女を花嫁として受け入れた。
神々はパンドラPandoraの手に、人類に災いするすべての悪が入っている封をした壺または小箱(パンドラの箱Pandora's box)を持たせていた。
この容れ物に入っていた唯一の善は、底にあった「希望」であった。
エピメテウスEpimetheusはプロメテウスPrometheusによって、ゼウスZeusからの贈り物は決して受けてはならないと警告されていたが、結局パンドラPandoraが人類に破滅をもたらすことになった。
パンドラPandoraが生まれながらの好奇心から小箱を開けると、ありとあらゆる悲しみ、病い、喧嘩、苦悩が飛び出した。
彼女は急いで蓋を閉めたが、諸悪の呪いが世の中に出て行くのを防ぐには遅すぎた。
その諸悪のために人間は今日まで苦しめられ続けているのである。
小箱の中に閉じ込められた希望の霊は、人類に災いをもたらすために解き放たれた種々の不幸を和らげるため、外に出して欲しいと叫んだ。
これまで人類と言えば自分たちのことと思っていた男たちは、悩みや労苦のない生活を送っていたが、こうして生きて行くために労働し苦悩しなければならなくなった。
異説によれば小箱はプロメテウスPrometheusのもので、彼が人類のために勝ち取り貯えていたすべての善なるものが中に入っていた。
パンドラPandoraが箱を家の中で見つけ、好奇心から蓋を開けると様々な恩恵が飛んで行って決して戻ることはなかった。
ただ希望のみは、他のものより鈍かったので、中に閉じ込められたままであったという。
パンドラPandoraはエピメテウスEpimetheusとの間に、娘・ピュラPyrrhaを産んだ。
ピュラPyrrhaはデウカリオンDeucalionと結婚し、夫とともに大洪水を生き延びた。
大地の骨bones、すなわち石rocksを拾って、言いつけられた通り肩越しに投げた。
デウカリオンDeucalionの投げた石は男menに、ピュラPyrrhaの投げた石は女womenになった。
デウカリオンDeucalion
プロメテウスPrometheusとプロノイアPronoiaとの息子。
エピメテウスEpimetheusとパンドラPandoraとの娘・ピュラPyrrhaと結婚した。
ゼウスZeusが青銅時代the Bronze Ageの人間の邪悪さのゆえに、あるいはアルカディアArcadiaの王・リュカオンLycaonとその人民たちの行った悪事のゆえに、洪水delugeによって人類を滅ぼそうと決心したとき、ティタン神族TitansのプロメテウスPrometheusは息子のデウカリオンDeucalionに箱船chestを建造してそれに食物を積み込むように指示した。
9昼夜漂泊したのち、船はパルナッソス山Mount Parnassusの山頂(もしくは北西ギリシアのドドナDodonaの近く)で止まった。
デウカリオンDeucalionとピュラPyrrhaは船を降りて、ゼウスZeusに犠牲を捧げ、自分たちの生存を感謝した。
しかしそのとき、彼らは、自分たちだけが生き残った人間であることを知った。
彼らはボイオティアBoeotiaのケピソス川the river Cephissus沿いの、あるいはのちにデルポイDelphiの神託所が置かれた場所のテミス女神Themisの神殿に行って神託oracleを求めた。
あるいはヘルメスHermesがゼウスZeusから遣わされて来て、彼らの望みは何でも叶えようと申し出た。
そこで彼らは、新たな人類が欲しいと言った。
神託oracleあるいはヘルメスHermesは、デウカリオンDeucalionとピュラPyrrhaに、顔をヴェールで隠し、帯を緩めて、肩越しに母の骨bones of your
motherを投げるように命じた。
初め2人はそれを拒んだ。
なぜなら、死者の骨を掘り起こすことは不敬であると彼らは考えたからだった。
しかしそのときデウカリオンDeucalionは、神託oracleの言う母motherとは母なる大地Gaiaに違いないと悟った。
そこで、大地の骨bones、すなわち石rocksを拾って、言いつけられた通り肩越しに投げた。
デウカリオンDeucalionの投げた石は男menに、ピュラPyrrhaの投げた石は女womenになった。
新しい人類はレレギア人と呼ばれた。
その後デウカリオンDeucalionとピュラPyrrhaはオプス人の市・ロクリスLocrisに定住し、ヘレンHellen、アムピクテュオンAmphictyon、プロトゲネイアProtogenea、パンドラPandora、テュイアThyiaの子供たちが生まれた。
しかしアテナイ人たちAtheniansは、2人が定住したのはアテナイ市であると主張し、市内にデウカリオンDeucalionの墓と称するものを持っていた。
洪水と人類再生の物語はオウィディウスOvidの『変身物語Metamorphoses』第1巻に語られている。
ステュクスStyx 三途の川(さんずのかわ)
死者が、冥途(メイド)へ行く途中、死出の山を越えてから渡る川。
善人は橋を、軽い罪人は浅瀬を、悪人は深い所を渡るという。
ステュクスStyx
三途の川(さんずのかわ)
死者が、冥途(メイド)へ行く途中、死出の山を越えてから渡る川。
善人は橋を、軽い罪人は浅瀬を、悪人は深い所を渡るという。
ステュクスStyx
「忌むべきもの」の意。
オケアノスOceanusとテテュスTethysの長女。
オケアノスOceanusの流れから分かれて
アルカディアArcadiaのケルモス山から険しい峡谷を通って
冥界the Underworldに注ぎ込んでいる川を支配した。
川は冥界でコキュトスCocytus(「嘆き悲しむ」の意)などいくつかの支流に分かれて、
ハデスHadesの王国である死者の国を九重に巻いていた。
冥界UnderworldではステュクスStyxは、銀の柱のある壮麗な宮殿に住んでいた。
彼女はティタン神族TitansのパラスPallas(エウリュビアEurybiaの息子)と結婚して、クラトスCratos(勢力)、ビアBia(力)、ゼロスZelus(熱意)、ニケNike(勝利)を産んだ。
ゼウスZeusがクロノスCronusとティタン神族Titansとを相手に戦ったとき、ステュクスStyxは最初にゼウスZeusのもとに馳せ参じた。
また子供たちはゼウスZeusに勝利をもたらした戦いできわめて重要な役割を果たした。
ゼウスZeusは彼らを側近とし、ステュクス川the River Styxの流れにかけて誓った言葉は神々でさえ決して破ってはならない、と命じた。
神が誓いをたてるときは、いつもイリスIrisが水差しにステュクス川the River Styxの水を取ってきて、それを献酒として注いだ。
その誓言を破った者は、1大年間(ふつうの暦で9年と言われている)死んだような昏睡状態になり、その後さらに9大年間オリュムポスOlympusから追放された。
クラトスCratosとビアBiaは、家にいるときも外に出たときも、ゼウスZeusの傍らから決して離れなかった。
ステュクスStyxの子供たちはいつも支配者ゼウスZeusにつき従っていた。
あのプロメテウスPrometheusが罰せられる悲劇の舞台で、クラトスCratosとビアBiaがゼウスZeusの手先となって登場する場面は誰でも思い起こすであろう。
これに対して、翼をつけた女神ニケNikeはゼウスZeusの娘パラス・アテナPallas Athenaともっとも親しく結びつくことになった。
ニケNike (ヴィクトリアVictoria)
勝利victoryの女神goddess、人格神。
ティタン神族TitansのパラスPallasとステュクスStyxとの娘daughterと言われるが、オリュムポスの神々Olympian godsとティタン神族Titansの戦いでは父・パラスPallasの側を離れた。
彼女はオリュムポスOlympusまでヘラクレスHeraclesに付き添った。
勝利者たちの頭上に勝利の冠を掲げ持ち、翼wingsのある姿で描かれた。
ニケNikeは女神アテナAthenaともっとも親しく結び付くことになった。
一般には有翼wingsの女性の姿で表される。
アテナAthenaの随神acquaintanceだが、アテナAthenaの化身とする場合もある。
スポーツ用品メーカー「ナイキNike」の社名はこの女神goddessに由来する。
トレードマークはこの女神goddessの翼wingsをイメージしたもの。
ステュクス河の水the Water of the River Styxを運ぶCarryingイリスIris
虹(にじ) Rainbow
大気中に浮遊する水滴の中を光が通過する際に、分散することで特徴的な模様が見られる大気光学現象である
アヤメ(菖蒲)(綾目) Iris sanguinea
イリスIris
イリスIrisはギリシア語で虹rainbowを意味する。
英語では虹彩(こうさい)も「iris」という。
また、イリスIrisの聖花はアヤメ(アイリスiris)だが、この名もイリスIrisに由来する。
タウマスThaumasとオケアノスOceanusの娘・エレクトラElectraとの娘daughter。
神々のメッセージを運ぶ伝令神messenger of the
gods・イリスIrisは「虹rainbow」を意味し、天と地を結ぶ架け橋と考えられたところから、この役割が与えられた。
カリコスは、ヘラHeraの伝令神messenger
of the godsとして、いつでも伝令に飛び出せるように靴を履いたまま眠るイリスIrisの姿を描いているが、ホメロスHomerでは、いつもゼウスZeusの使い走りをしている。
夫は西風のゼピュロスZephyrである。
ハルピュイアHarpiesの姉elder sister。
美術において背中に翼wingsを持った姿で描かれる場合が多い。
天地を結ぶ虹rainbowとして、疾速で知られ、遠くの土地や海底でも瞬く間に移動することが出来る。
そのためヘルメスHermesがゼウスZeusの腹心の部下であるように、イリスIrisはヘラHeraの忠実な部下としてヘラHeraの伝令使messengerを務める。
神々が互いに争ったり、嘘をついて欺こうとする者がいたとき、ゼウスZeusはイリスIrisを冥府Underworldに派遣し、誓約の証人としてステュクス河の水the Water of the
River Styxを汲んでこさせる。
女神レトLetoがデロス島the island of DelosでアポロンApolloを出産する際、アポロンApolloの祭壇と神域がデロス島the island of Delosで末永く栄え、アポロンApolloは他の誰よりもまずデロス島the island of Delosに栄誉を与えることをステュクスStyxに誓った。
しかしレトLetoはその日から9日間産褥に苦しんだため、レトLetoのもとに集まった女神たちはイリスIrisを天に遣わして出産の女神エイレイテュイアEileithyiaを連れて来させようとした。
エイレイテュイアEileithyiaは彼女をレトLetoのもとに行かせまいとする母ヘラHeraのもとで何も知らずにいたが、イリスIrisは女神たちに言い含められたように彼女をヘラHeraのいないところに呼び出して説得し、デロス島the island of Delosに連れて行った。
するレトLetoはすぐさまアポロンApolloを出産したという。
ヘラHeraは、イリスIrisに命じて冥府UnderworldにあるヒュプノスHypnosの館に行って、ヒュプノスHypnosの息子モルペウスMorpheusを遣わしてケユクスCeyxの死んだことをアルキュオネAlcyoneの夢枕に立って伝えた。
イリスIrisに起されるモルペウスMorpheus
モルペウスMorpheus
モルペウスMorpheus(「形を変える者shaper」)
眠りの神the God of Sleep・ヒュプノスHypnos(「眠りsleep」)の息子son。
夢dreamを見る人に人間の姿を見せる夢の神the God of Dreams。
海で死んだとも知らず夫のケユクスCeyxを待ちわびる妻・アルキュオネAlcyoneにその死を告げるため、ヘラHeraは虹の女神・イリスIrisを遣わし、ヒュプノスHypnos(「眠りsleep」)の息子sonの1人モルペウスMorpheus(「形を変える者」)をアルキュオネAlcyoneの夢枕に立たせた。
カリスCharis (Grace)
カリテスCharites (Graces)
三美神the three Graces。
輝き・喜び・開花を象徴した三人姉妹の若くて美しい女神goddesses
アプロディテAphroditeに仕える、あるいはアプロディテAphroditeと深い関わりがあると考えられる、あまり重要でない女神たちgoddesses。
両親については諸説があるが、ゼウスZeusとエウリュノメEurynomeとであるとする場合が多い。
数についても一定しない。
一般には3人とされ、典雅と優美と友愛の擬人神である。
詩歌、美術の主題として好まれるが、神話におけるエピソードは少ない。
ヘシオドスHesiodはカリスCharis姉妹の1人アグライアAglaea(「輝く女」)を、アプロディテAphroditeの代わりにヘパイストスHephaestusの妻としている。
ホメロスHomerの『イリアスIliad』では、ヘパイストスHephaestusの妻は単にカリスCharisとなっている。
また『イリアスIliad』の別の個所では、カリテスCharitesの1人がパシテアPasitheaの名で登場する。
その場面は、ヘラHeraがゼウスZeusを眠らせておいて、その間に神々がギリシア方に加勢するようにと、ヒュプノスHypnos(「眠り」)の力を借りるために、彼にパシテアPasitheaを花嫁として与えるというものである。
ホーライHorae
ホーライHoraeによって戴冠するパンドラPandora
ホーラHora(単数形)(hour)
ホーライHorae(複数形)(hours)
ゼウスZeusとテミスThemisの娘たちで、彼女たちの名前は「1日の時間」ではなく、「1年の季節」を意味する。
数は2人から4人と説が分かれるが、通常は、春、夏、冬の3姉妹説がとられる。
彼女たちは天空の番人で、神々が戦車に乗って出かけるときは、オリュムポスOlympusの門から雲を左右にかき分ける役割をする。
ゼウスZeusとテミスThemisの三人の娘で、運命の三女神モイライMoiraeの姉妹とされる。
普段はホーラHoraたちは季節の規則正しい移り変わりと人間社会の秩序の二様の女神とみなされており、気象的性格をもって自然の秩序を守護するホーラHoraたちは、また道徳秩序にも重視される。
天界と地上を結ぶ雲の門の番人でもあり、ヘラHeraの戦車から馬を外したりと、神々がオリュムポスOlympusから戦車に乗って外出する際、天界の門の雲を掻き分ける。
アプロディテAphroditeがキュプロス島Cyprusに上陸するとホーラHoraたちが彼女を着飾らせ、オリュンポス山Olympusに連れて行った。
ゼウスZeusが人間を破滅させるため、パンドラPandoraを地上へ送った時、ホーラHoraたちは彼女の頭を花飾りのついた冠で縁どりされる。
神々の宴会でホーラHoraたちはカリスCharisたちの仲間になって踊る。
ホーラHoraたちは生まれたヘルメスHermesの保護者であり、ディオニュソスDionysusがゼウスZeusの太股から生れた時、彼を引きうけた。
また、ヘラHeraを養育したのは彼女たちであった。
ヘラHeraあるいはアプロディテAphroditeの侍女であり、ディオニュソスDionysus、ペルセポネPersephone、デメテルDemeter、アポロンApolloなどにも従ったりしている。
それゆえ彼女達は、花あるいは植物を手にした優雅な三人の美しい乙女の姿で表される。
最新式の家 Modern Home 2017年(平成29年)
最新式の家 Modern Home 2017年(平成29年)
テュポンTyphon
ゼウスZeusがティタン神族Titansを打ち負かし、タルタロスTartarusに幽閉したのち、あるいはオリュムポスの神々the Olympian godsがギガンテスGigantes(巨人族)を征服したのち、ガイアGaea(the Earth)(大地)は、今度はタルタロスTartarusと交わって、(小アジアAsia Minor南東の)キリキアCiliciaにあるコリュキオン洞窟Corycian Caveで、恐ろしい怪物Monster・テュポンTyphonを産んだ。
この怪物Monsterは蛇の顔を100個one hundred snake heads持っていたが、それぞれの顔には黒い舌がちらつく口があり、そこから恐ろしげな声が発せられた。
それは神々のような声で語るかと思えば、牡牛のような大声でほえたり、シュウシュウと音をたてたり、あるいは犬のように吠えたりした。
成長するとすぐにテュポンTyphonはゼウスZeusに戦いをしかけた。
ゼウスZeusはテュポンTyphonが自分の最高権力にとって脅威であることがよく分かっていたので、彼はテュポンTyphonを制圧しようと決めた。
テュポンTyphonが白昼現れたとき、ゼウスZeusは彼に雷を浴びせかけ、シリアSyriaのカシオス山まで追い返した。
その地でテュポンTyphonは反撃に移り、激しい戦いが起こった。
テュポンTyphonはゼウスZeusをつかみ、ゼウスZeusの金剛の鎌を奪い、それでゼウスZeusの手足の腱を切り取ったので、ゼウスZeusは地面に横たわったまま手も足も出なかった。
それから、テュポンTyphonはゼウスZeusの雷を奪い、彼の腱を一部は女、一部は蛇の姿をした別の怪物・デルピュネDelphyneに与え、コリュキオン洞窟Corycian Caveの熊の皮の下に隠して番をさせた。
また彼は、手も足も出ないでいるゼウスZeusもそこに押し込めた。
その後しばらくしてヘルメスHermesとアイギパンAegipanがその洞窟にやってきて、デルピュネDelphyneを騙して関心を他にそらせ、そのすきに腱を盗み出して、再びゼウスZeusの手足につけた。
やっとゼウスZeusはそこを抜け出し翼のある戦車に乗ってオリュムポスOlympusに戻り、新たに雷を手にした。
ゼウスZeusはこれを使ってテュポンTyphonに対する攻撃を再開し、テュポンTyphonを伝説上の山・ニュサ山まで追った。
そこでテュポンTyphonはエリニュエスErinyes(Furies)に出会った。
彼女らがテュポンTyphonに、力を得るために人間の食物を食べるのがよいと勧めると、彼は彼女らとその言葉を信用した。
だが言われたようにしてみると、実際にはひどく力が弱まった。
それから彼はもう1度トラキアThraceのハイモス山でゼウスZeusと対決した。
古代のギリシアAncient Greeceの人々は、テュポンTyphonがそこで流した血(ハイマ)がその山脈にその名を与えたのだと考えた。
いまやゼウスZeusが優勢となり、テュポンTyphonを南方のイタリアItaly沖の海まで追い、海から島を1つ拾い上げてそれを彼に投げつけた。
この新しい場所にできた島が、のちにシシリア島Sicilyとして知られるようになり、テュポンTyphonの吐く火がエトナ山Mt. Etnaになったのである。
不死身のテュポンTyphonはそうやって今も生きているのである。
彼らの戦いに関するヘシオドスHesiodの説では、テュポンTyphonに火をつけただけだという。
また全世界がその争いで打ち震え、タルタロスTartarusさえも震動したという。
それから、ゼウスZeusは彼を捕まえて、タルタロスTartarusの奥底に投げ込んだ。
テュポンTyphonはそこで幽閉されていたティタン神族Titansと一緒になった。
捕らえられたテュポンTyphonはそこで、人々に害を及ぼすすべての風の父となった。
台風typhoonという言葉が彼の名に由来するのはそのためである。
また、彼らの激しい戦いの間、他の神々は驚いてエジプトEgyptに逃れ、そこでテュポンTyphonから身を隠すために動物の形に姿を変えた。
これは、エジプト人Egyptianが彼らの多くの神々に動物の形を与えた由来である。
ギリシア人GreekはテュポンTyphonを、オシリスOsirisを追跡した怪物セトSetと同一視した。
ゼウスZeusもこの逃走に同行し、牡羊に姿を変えたとすら考えられた。
これは牡羊の姿になるゼウス・アムモン(アムン)の祭式のいわれである。
古代ギリシアAncient Greeceの人々はまた、テュポンTyphonが敗北する前にエキドナEchidnaと交わり、キマイラChimera、オルトロスOrthrus、ラドンLadon、スピンクスsphinx、クロムミュオンの牝豚the Crommyonian sow、ネメアのライオンthe Nemean Lion、プロメテウスPrometheusを苦しめた大鷲great eagleを産んだと考えた。
テュポンTyphonは時にテュポエウスTyphoeusと区別され、テュポエウスTyphoeusの子であると言われる。
エキドナEchidnaと交わったのは、父というよりも息子の方だと言われることもある。
エキドナEchidna
怪物Monster(その名は「蛇Snake」の意)で、神話的なクリュサオルChrysaorと、大洋神・オケアノスOceanusの娘daughter・カリロエCallirhoeとの娘daughter。
タルタロスTartarusとガイアGaeaの娘daughterという説もあり、またケトCetoとポルキュスPhorcysの娘daughterという説もある。
上半身は美女Beautiful woman、下半身は獰猛な蛇Snakeであった。
テュポンTyphonと交わって、キマイラChimera、レルネ湖Lake LernaのヒュドラHydra、地獄の番犬・ケルベロスCerberusなど、恐ろしい子供たちを産んだ。
ゲリュオンGeryonの牛の群れの番犬・オルトロスOrthrusも、テュポンTyphonとの間の子と言われることが多い。
続いてそのオルトロスOrthrusと交わって、スピンクスsphinx、ネメアのライオンthe Nemean Lion、クロムミュオンの牝豚the Crommyonian sowを産んだ。
ヘスペリデスの園the garden of the Hesperidesを守っていた竜のラドンLadon、プロメテウスPrometheusを苦しめた大鷲great eagleなども、エキドナEchidnaの子供と言われることがある。
最後に、100個の目hundred eyesを持つ巨人giant・アルゴスArgusが、眠っているエキドナEchidnaを捕らえ、彼女を殺し、アルカディアArcadiaを彼女の災難から救った。
アルゴスArgus
多くの目eyesを持つ巨大で強力な怪物monster。
背中にもいくつかの眼eyesのある姿で描かれたり、あるいは全身に100の眼hundred eyesがある姿で描かれたりする。
あだ名epithetはパノプテスPanoptes(「すべてを見るall-seeing」)。
アルカディアArcadia地方を荒らす牡牛Bullを退治し、家畜livestockを盗もうとしたサテュロスsatyrを殺した。
イオIoが白い牝牛Cowに変身させられたときに見張りについた。
しかしそのときヘルメスHermesに殺された。
この際、ヘルメスHermesは葦笛reed pipeの音を聞かせてアルゴスArgusの目eyesをすべて眠らせて剣で首を刎ねたとも、遠くから石を当てて殺したともいう。
ヘルメスHermesはそのためしばらくアルゲイポンテスArgeiphontes(「アルゴスを退治したものArgus-slayer」)の名epithetで呼ばれた。
殺されたアルゴスArgusの多くの眼eyesは、ヘラHeraが自分の聖鳥Holy birdである孔雀の尾羽根peacock's tailにはめこんだ(あるいは、アルゴスArgusを孔雀peacockに変えたともいう)。
アルゴスArgusの息子sonがイアソスIasusである。
ゲリュオンGeryon
あるいはゲリュオネウス、ゲリュオネス。
クリュサオルChrysaorと、大洋神・オケアノスOceanusの娘daughter・カリロエCallirhoeとの息子son。
3頭three heads 3身three
bodiesの怪物Monsterで、ヘラクレスの柱the Pillars of Hercules(現在のジブラルタル海峡the Strait of Gibraltar)のはるか向こうの西のかなた、大洋・オケアノスOceanusの流れに近いエリュテイアErytheia(「紅色の島」)と呼ばれる島islandに住み、多くの牛Cattleを所有した。
牛飼いcowherdはエウリュティオンEurytion。
番犬watchdogはオルトスOrthus(「真っ直ぐな」の意)、あるいはオルトロスOrthrus(「速い」)と呼ばれ、怪物Monster・エキドナEchidnaとテュポンTyphonとの間に生まれた頭が2つある犬two-headed
houndである。
オルトロスOrthrus
テュポンTyphonとエキドナEchidnaの息子Son
双頭の犬two-headed dogで、ゲリュオンの牛Geryon's cattleの番犬watchdog
ケルベロスCerberus
地獄の番犬Hades' loyal watchdogで、テュポンTyphonとエキドナEchidnaの子offspring。
ヒュドラHydraとキマイラChimeraの兄弟siblings。
50の頭を持つとヘシオドスHesiodは考えていたが、通常は、3つの頭three headsを持つ姿で描かれる。
また蛇の尻尾を持ち、背中にはたくさんの蛇の頭が1列になって生えていた。
三頭three headsで、蛇serpentの尾tailとたてがみManeを持つ
巨大Giganticな犬dogや獅子Lionの姿で描かれる怪物Monster
主な役割は逃走を試みたハデスHadesの国(死者の国underworld)の住民を捕らえて食うことだった。
彼は来たばかりの死者が冥界underworldに入るときには喜んで迎えたが、生きている人間が、彼が番をする世界に入ることを許さなかった。
そのため、オルペウスOrpheusは音楽でこの犬watchdogの心をそらさねばならなかったし、クマイのシビュレsibylはその脇を通るためにソップsop(睡眠薬入りの酒に浸したパン)を投げ与えねばならなかった。
このことから「ケルベロスに与えるソップsop to Cerberus」(「面倒な者を買収するための金品」の意)という言葉が生じた。
ヘラクレスHeraclesもまたこの犬watchdogと格闘を演じた。
彼の12番目の難業the Twelfth Laborは冥界underworldから地上にケルベロスCerberusを連れてくることであった。
ヒュドラHydra
エキドナEchidnaとテュポンTyphonの子供offspringで、アルゴスArgos近郊のレルネLerneの沼沢地帯swampアミュモネの泉the spring of Amymoneに住む水蛇water snake。
巨大な胴体Huge bodyに9つの首Nine headsを持つ大蛇monster serpent。
ピュトンPython
アポロンApolloがデルポイDelphiにやって来る前にそこに住んでいて、デルポイDelphiの最初の名前ピュトの起源となった牝femaleの大蛇monster serpent。
初めガイアGaea(the Earth)(大地)、次にテミスThemisとポイベPhoebeの手にあったデルポイの神託所Delphic oracleを護っていたと言われる。
ピュトンPythonは時々、女神のレトLetoがアポロンApolloとアルテミスArtemisを身ごもったときにヘラHeraに遣わされて彼女を追った蛇serpentと同一視された。
このため、アポロンApolloはまだ生まれたばかりのとき、デルポイDelphiまで蛇serpentを追い、そこで蛇を殺したが、あとで蛇を埋葬し、また蛇を讃えてピュティア葬礼競技会Pythian Gamesを開始することによって、ガイアGaeaの心をなだめた。
ピュトンPythonが牝femaleの大蛇monster serpentであったことに因んで、デルポイDelphiのアポロン神殿the Temple of Apolloに仕える神官priestは、常に女性(巫女priestess)であり、必ずピュティアPythiaと呼ばれた。
アポロンApolloがピュトンPythonを殺したのは、アポロンが神託oracleを始めるためにデルポイDelphiにあった大地の割れ目に入りたかったのだが、ピュトンPythonがそこの守護者Guardianだったからだとする説もある。