浜辺の家 Beach House 2008年(平成20年)
浜辺の家 Beach House 2008年(平成20年)
カオス Chaos
カオス Chaosとはぽっかり口を開けた空洞 Voidであって、そこからガイア Gaea(the Earth)(大地)、タルタロス Tartarus(奈落 abyss)、エレボス Erebus(暗闇 darkness)、ニュクス Nyx(夜 night)、エロス Eros(愛)が生まれた。
ガイア Gaea (大地 the Earth)
原初 originalの混沌・カオス Chaosから生まれた。
ガイア Gaeaから天 Heavenであるウラノス Uranusと海 seaのポントス Pontus、山々 mountainsが生まれた。
ガイア Gaeaはウラノス Uranusと交わって巨人神族 giant godsであるティタン神族 Titansを産んだ。
その中に、ゼウスZeusの両親となるクロノスCronusとレアRheaとその5人の兄弟たち、大地をとりまく大洋の神であるオケアノスOceanusとその妻・テテュスTethysらがいる。
他にもガイアGaeaはウラノスUranusとの間に、3人のキュクロペスCyclopesのブロンテスBrontes(雷鳴)、ステロペスSteropes(電光)、アルゲスArges(閃光)と、100本の腕を持つ巨人たち・ヘカトンケイレスHecatoncheiresのコットスCottos、ブリアレオスBriareos、ギュエスGyesを産んだ。
一方、夜のニュクスNyxと暗闇のエレボスErebusとの間に、昼間のヘメラHemeraと上天空のアイテルAether(「大気」)が生まれた。
ウラノスUranusは怪物のキュクロペスCyclopesや100本の腕を持つ巨人たち・ヘカトンケイレスHecatoncheiresを嫌い、彼らが光を見ることができないように、彼らを母・ガイアGaeaの胎内に再び押し込んだ。
そのためガイアGaeaはひどい痛みに苦しんだ。
横暴な夫に怒ったガイアGaeaは、子のクロノスCronusに金剛の鎌を与え、今度ウラノスUranusがガイアの上に覆い被さったとき、ウラノスの男根を切り落とすよう命じた。
クロノスCronusは命令を実行し、切り取った男根を海に投げ棄てた。
そのとき大地に滴った血から、復讐の女神・エリニュエスErinyes(Furies)、巨人族giants・ギガンテスGigantes、そして、トネリコの木の精たちnymphs of the ash
tree・メリアイMeliaeが生まれた。
男根はそのまま波に漂い、キュプロス島Cyprusのパポス、あるいはラコニア島に近いキュテラ島に流された。
波に浮かぶ男根のまわりに集まる泡(ギリシア語Greekで「泡」はアプロス)から、愛の女神the goddess of love・アプロディテAphroditeが生まれた。
しかし、クロノスCronusはそのあと、父・ウラノスUranusと同じように暴君と化し、兄弟のキュクロペスCyclopesや100本の腕を持つ巨人たち・ヘカトンケイレスHecatoncheiresを冥界the UnderworldのタルタロスTartarusに閉じ込め、さらにレアRheaとの間に生まれた子供たちを次々に飲み込んでしまった。
それは子供の1人が彼を打ち倒すであろうと、ガイアGaeaとウラノスUranusから警告されていたからである。
しかし、レアRheaの訴えを聞いたガイアGaeaはレアRheaを手伝って、レアRheaの生んだ最後の子供・ゼウスZeusを救った。
クロノスCronusが末子・ゼウスZeusも飲み込もうとしたとき、ガイアGaeaが大きな石を与えると、クロノスはそれを子供と思って飲み込んだ。
そして、クレタ島Creteの洞窟に隠された赤子・ゼウスZeusは、その地でひそかに育てられた。
成人したゼウスZeusは、父・クロノスCronusと父に加勢するティタン神族Titansを倒す準備を整えた。
母のレアRheaは、あるいはメティスMetisとする説もあるが、飲み込んだ子供たちを吐き出させる催吐薬をクロノスCronusに与えた。
吐き出された子供たちは、ポセイドンPoseidonとハデスHadesの2人の男神と、デメテルDemeter、ヘスティアHestia、ヘラHeraの3人の女神たちである。
ゼウスZeusはキュクロペスCyclopesと100本の腕を持つ巨人たち・ヘカトンケイレスHecatoncheiresをタルタロスTartarusから解き放ち、彼らに稲妻の武器を与えた。
こうして、クロノスCronus対ゼウスZeusたちの10年に渡る長い戦争・ティタノマキアTitanomachyが始まった。
結局ゼウスZeusが勝利を収め、父・クロノスCronusを含む敵にまわったティタン神族Titansは、すべてタルタロスTartarusに幽閉された。
しかし今度はガイアGaeaが、ゼウスZeusのそうした行為を横暴であるとして腹を立てた。
ガイアGaeaはタルタロスTartarusと交わって戦士となる怪物・テュポンTyphonを産み、エウリュメドンEurymedon、アルキュオネウスAlcyoneus、ポルピュリオンPorphyrionが指揮するギガンテスGigantesの巨人たちgiantsを鼓舞して、ゼウスZeusに反旗を翻えさせた。
この戦いは「巨人との戦い」すなわちギガントマキアGigantomachyとして知られる。
ガイアGaeaは奇蹟の植物を産み、その汁でギガンテスGigantesに不死の命と無敵の力を与えようとした。
しかし、ゼウスZeusは世界を暗闇で閉ざしておいて、その薬草を捜し出して引き抜いた。
そのあと、一族の神々の援助を得て、ゼウスZeusはやっと敵を倒し、彼らを生地である地底に監禁した。
しかし、ガイアGaeaはゼウスZeusのために役立ってもいる。
ゼウスZeusがメティスMetisと最初の結婚をしたとき、ガイアGaeaは、2人の間に生まれる息子がゼウスZeusに代わって神々の王となるであろう、と警告した。
そのためメティスMetisが妊娠すると、ゼウスZeusはメティスMetisを飲み込んだ。
メティスMetisの胎内の子はやがて、ゼウスZeusの頭から生まれ、アテナ女神the goddess
Athenaとなった。
ゼウスZeusとヘラHeraの結婚式にもガイアGaeaは出席し、ヘラHeraに祝いとして黄金のりんごGolden Appleの木を送った。
その木はヘスペリデスHesperidesが守っていた。
ガイアGaeaは神託oracleと予言prophecyにも深い関わりがある。
一説によれば、デルポイの神託所Delphic oracleを建てたのはガイアGaeaで、そこは元来はガイアGaeaに捧げられた聖域sacred precinctであったという。
ガイアGaeaはそれをテミスThemisに譲り、テミスThemisはティタン女神Titan goddessのポイベPhoebeに明け渡し、ポイベPhoebeがアポロンApolloに与えたという。
大蛇ピュトンPythonはガイアGaeaに属していたが、アポロンApolloがそれを殺した。
アポロンApolloは8年ごとにピュティア競技祭the Pythian Gamesを開き、神託oracleの仕事に携わる女司祭priestess・ピュティアPythiaを雇って、ピュトンPython殺しの罪を贖った。
ガイアGaeaは誓言の神でもあり、多くの誓いはガイアGaeaの名にかけて誓われた。
誓いを破ったものには、復讐の女神・エリニュエスErinyes(Furies)を送り報復させた。
ガイアGaeaは息子のポントスPontusとの間に多くの海の神々を産んだ。
テティスThetisをはじめとする海の娘・ネレイデスNereidsの父・ネレウスNereusや、その他タウマスThaumas、ポルキュスPhorcys、ケトCeto、エウリュビアEurybiaなどである。
他にも多くの子供を産んだが、その中には怪物たちもいる。
タルタロスTartarusとの間に生まれたエキドナEchidna、ヘパイストスHephaestusの流した精液から生まれたエリクトニオス1世Erichthonius I of Athens、そして(ある説によれば)、オケアノスOceanusとの間に生まれたトリプトレモスTriptolemusもガイアGaeaの子供たちである。
巨人の狩人giant huntsman・オリオンOrionが地上の動物すべてを殺すことができると言っているのを聞いて、ガイアGaeaは蠍scorpionを産み、オリオンOrionはその蠍scorpionに刺されて死んだ。
ウラノス Uranus (天 Heaven) (カイルス Caelus)
ガイア Gaeaはカオス Chaosから生まれると、男の助けを借りずウラノス Uranusを産んだ。
その後、ウラノス Uranusと交わってできた子がティタン神族 Titansである。
ティタン神族 Titans ティタン女神 Titanesses
ウラノス Uranus (天)とガイア Gaea (地)との交わりから生まれた巨人神族giant gods。
クロノス Cronus、レア Rhea、オケアノス Oceanus、テテュス Tethysなど。
ティタノマキア Titanomachy
ゼウス Zeus 率いるオリュンポスの神々 Olympian
godsと、クロノス Cronus 率いる巨神族 giant gods ティタン Titansとの戦い Battle。
キュクロペスCyclopes(「丸い目Round eyes」)
通常は額にただ1個の目one-eyedを持つと考えられていた巨人giantである
ウラノスUranus(天)とガイアGaea(the Earth)(地)との息子sonたち
アルゲスArges(閃光)、ブロンテスBrontes(雷鳴)、ステロペスSteropes(電光)
キュクロペスCyclopesはゼウスZeusの従僕となり、鍛冶屋でもあったので、彼の雷電を作った。
彼らはポセイドンPoseidonの三叉の矛、それを被ると姿が見えなくなるハデスHadesの隠れ帽も作った。
アポロンApolloはゼウスZeusがアポロンApolloの息子・アスクレピオスAsclepiusを殺すときに用いた雷がキュクロペスCyclopesによって作られたために、息子の復讐に彼らを殺した。
ヘカトンケイレスHecatonchires
コットスCottos、ブリアレオスBriareos、ギュエスGyesの3人のヘカトンケイルHecatoncheirたちは、ガイアGaea(the Earth)(地)とウラノスUranus(天)の息子sonたちで百手巨人とも言われ、100本の腕a
hundred armsと50の頭fifty headsをもつ巨人giantsである。
クロノスCronus打倒のこの戦い(ティタノマキアTitanomachy)で勝利を得るには、キュクロペスCyclopesとヘカトンケイレスHecatoncheiresの力が不可欠だと知るゼウスZeusは、彼らをタルタロスTartarusから解放し、神々の酒・ネクタルnectarと、神々の食物・アムブロシアambrosiaを与えた。
しかし、戦争が終わると、ゼウスZeusは再びヘカトンケイレスHecatoncheiresをタルタロスTartarusに戻したが、今度はクロノスCronusらのティタン神族Titansを見張る牢番としてだった。
彼らはゼウスZeusの忠実な友となった。
ゼウスZeus一族の他の神々がゼウスZeusに謀反を企てたときも、テティスThetisがブリアレオスBriareosを呼び出すと、ブリアレオスZeusはゼウスZeusに加勢した。
ギガンテスGigantes(巨人族giants)
「大地から生まれたものearthborn」の意味でゲゲネイスgegeneisと呼ばれることもある
通常、上半身は人間の形をし、腰から下が二つの蛇身になった巨人giantたちである。
ギガントマキアGigantomachy
ゼウスZeusがティタン神族Titansを冥府のタルタロスTartarusに閉じ込めたとき、それを怒ったガイアGaeaは息子のギガンテスGigantesをけしかけて、ゼウスZeus一族の神々(オリュムポスの神々the Olympian gods)との戦いBattleを挑ませた。
それがギガントマキアGigantomachyと呼ばれる「巨人との戦い」である。
ギガンテスGigantesは神々のみによって滅ぼされることはないが、人間の英雄が神々の味方につけば、この戦いは神々の勝利になることをゼウスZeusは知っていたので、ゼウスZeusは人間の女と交わり、息子・ヘラクレスHeraclesを得て戦闘を開始した。
ガイアGaeaはガイアGaeaで、ギガンテスGigantesの生命を人間から守ろうとして、不死の生命を与える薬草を産んだ。
ゼウスZeusは太陽神・ヘリオスHelios、月の女神・セレネSelene、曙の女神・エオスEosらに、ゼウスZeusがその薬草を見つけてその根を引き抜くまで、姿を現さないように命じた。
戦争は、ギガンテスGigantesが住むプレグラ(「燃える野」の意)の野で行われた。
そこはトラキアThraceのパレネ、あるいは、火山のある地のいくつかの場所とも言われる。
さて、最も強力な戦士・アルキュオネウスAlcyoneusとポルピュリオンPorphyrionを従え、王・エウリュメドンEurymedonの指揮するギガンテスGigantesは、居並ぶ
ゼウスZeus一族の神々(オリュムポスの神々the Olympian gods)に向かって、岩を投げ、山を持ち上げ、樫の巨木の幹を松明にしたてて振り回しながら攻撃した。
ヘラクレスHeraclesはアルキュオネウスAlcyoneusに毒矢を放ち、ギガンテスGigantesの居住地の境界の外まで引きずり出して殺した。
ギガンテスGigantesはその居住地内では不死だったからである。
ポルピュリオンPorphyrionはヘラHeraを犯そうとしたが、ゼウスZeusが雷を投げ、ヘラクレスHeraclesが必殺の毒矢を放った。
その他多くのギガンテスGigantesがゼウスZeusの稲妻にあたって死んだ。
また、エピアルテスEphialtesはアポロンApolloとヘラクレスHeraclesの放った矢で両眼を射抜かれて死んだ。
エンケラドスEnceladusは戦場から逃げ出そうとするところを、アテナAthena女神にシシリア島Sicilyの頂上の部分を投げつけられて潰された。
しかし、絶命はせず、いまもエトナ山Mt. Etnaの下から火の息を吐いている。
ミマスMimasも同じ運命をたどり、ヘパイストスHephaestusに燃え盛る溶鉱を投げつけられて、いまもヴェスヴィオス山Mount Vesuviusの下敷きになっている。
パラスPallasはアテナAthena女神に追われ、全身の皮を剥がれた。
その皮はアテナAthenaの胸もとの楯・アイギスAigis(aegis)に貼り付けられている。
ポリュポテスはポセイドンPoseidonにコス島をもぎとった大岩を投げつけられ、その下敷きになり、そのまま新しい島、ニシュロス島になった。
ヒッポリュトスHippolytusは、ハデスHadesの隠れ帽を被ったヘルメスHermesに討たれた。
グラティオンGrationはアルテミスArtemisの矢で射たれ、エウリュトスEurytusはディオニュソスDionysusのテュルソス杖で打ちのめされ、クリュティオスClytiusはヘカテHecateの地獄の松明で焼かれ、アグリオスAgriusとトアスThoasは運命の女神・モイライMoiraeの青銅の棍棒で打たれた。
しかし、それぞれのギガスGigasにとどめを刺したのは、ヘラクレスHeraclesの必殺の矢だった。
先端にヒュドラHydraの毒を塗ったその矢は、いかなる巨体にも致命的な一撃となり、まさに、その矢を持つヘラクレスHeraclesのような人間の英雄こそが、ギガンテスGigantesを死に至らしめることができたのである。
それほど知られていない物語では、ギガンテスGigantesは、ヘパイストスHephaestusとサテュロイsatyrsが乗ったロバの奇妙な鳴き声や騒音、あるいはトリトンTritonの吹く法螺貝の不思議な音色に追われ、敗走したことになっている。